通貨安競争激化!米ドル>ユーロ>円?
菅政権が円売り介入に消極的との見方があっただけに、昨日の政府・日銀による2兆円規模の円売り介入は意表をついた恰好である。結果的にはドル円が83円割れから85円台後半まで上昇、効果抜群の介入操作と解釈出来るだろう。
米国通貨当局は今回の介入にはノーコメントとしているが、米国内においては賛否両論があると言われている中、基本的には日本政府の介入に関しては容認姿勢を見せていない。その、理由の一つとして、米国が中国元の切り上げ要請を継続しているだけに、米当局側としては人民元の上昇に歯止めがかかる可能性があり、日本経済の台所事情を配慮しながら、困惑せざるを得ない状況であろう。
先週、本邦金融当局者が欧米との間で介入の意見調整をしたと報道があったが、介入後のコメントで判断する限りは、水面下では欧米金融当局との合意があったものの、単独介入に踏み切らざるを得ないことから、今後は政府・日銀の持続性が問われるが、今回は海外の中央銀行を通した委託介入は行われておらず、24時間体制の単独介入とは言いながらも、更にドル円を押し上げるような介入操作は懐疑的であることから、徐々に上値の重さを意識しなければならないだろう。一方、日銀は、ドル買い・円売りで放出された円資金を即座に回収しない非不胎化発言をしており、日銀の金融緩和政策を促す措置である。総じて、資金供給量拡大の観点からは円売りの支援材料と言えるが、市場の反応は実質的な介入操作のみに視線が向けられている。いずれにしても、各国が自国通貨安競争に突入しているだけに、当面、政府日銀の介入姿勢を見極めてからの始動が賢明であろう。