米経済減速拡大→介入操作の限界とジレンマ発生?
ECBは、継続的にEU金融市場の流動性を重んじた金融緩和策を維持しており、依然として、金融システムの脆弱性が窺えるが、欧州ストレステストの基準の曖昧さを背景にユーロドル売りが強まる中、ウェーバー独連銀総裁が金融危機の終焉を宣言するのは早すぎるとの発言を嫌気して、ユーロドルは一時1.2730ドルから1.26台半ば前後まで下落する展開となったが、ポルトガルやポーランドの国債入札が無難に消化された事を受けて、EU債務危機がやや後退し、株価上昇を伴い、ユーロの買い戻しが優先されているが、反面、利食い優先の動きが顕在化しており、上昇幅は限定的になっている。
一方、米地区連銀報告(ベージュブック)では5地区では緩慢な成長、他の5地区はまちまちか減速とまだら模様であるが、概ね雇用情勢の悪化や住宅市場の低迷が指摘されており、米経済の鈍化は避けられない情勢にあり、ドル売り志向は根強いものが垣間見られる。また、オバマ米大統領が中間選挙を意識する中、景気修復の進展ペースは痛々しいほど鈍いことを示唆し、法人税の引き下げを軸として、3,500億ドルの追加景気刺激策を発表したが、今後は議会との調整が難航することが予想され、予断を許せない状況には変わりがない。
他方、欧米株式市場が堅調に推移する中、日経平均株価も反発の兆候見せており、ドル円は84円台を回復しているが、リスク許容度の観点から判断すれば、ドル円の上昇も限定的と判断するのが正解であろう。
補足的になるが、政府・日銀は、経済活性化には断固たる円高対策を強いられてはいるが、米欧当局との円高意識の相違もあり、即座に単独介入に踏み切れる外部環境ではないが、仮に、単独介入となれば、2003〜2004年の間で実施されたような無作為な大規模な介入「35兆円」は許されない財政情勢にあるだけに、余程の円高にならない限りは、口先牽制介入で凌ぐしかないのが現状なのかもしれない。