円高対策待ちもドル円の反発は限定的?
米7月中古住宅販売件数が前月比27.2%減と3ヶ月連続の大幅悪化になったことから、米経済の先行懸念が一段と強まり、米主要株価指数は下げ幅を拡大、NYダウは一時1万ドルを割り込んでいる。市場におけるドル売り圧力が増したことから、ドル円は1995年6月以来15年ぶりの安値水準83円60銭まで下落し、クロス円もユーロ円が8年ぶりと軒並み安値を更新している。その後、米主要株価指数の下げ幅が縮小したことから、ドル円を買い戻す動きが優勢になっているが、政府・日銀の対応の遅れが指摘されているように、上値は限定的になっている。
市場では景気減速がテーマになる中、米欧経済の2番底懸念がある以上、景気先行指数である株式市場の軟調が予想されるだけに、政府・日銀は追加的金融緩和や単独介入などの円高対策を講じる必要性に迫られている。しかしながら、政府としては、日銀の独自性を重んじる中、金融緩和策に関しては、米欧が共に積極的に実施しているにもかかわらず、経済環境は一向に改善されておらず、むしろ、日本経済以上に悪化の一途をたどっており、景気対策のカードが限られている日銀としては、追加的金融緩和策と併用する恰好で単独加入に追い込まれる可能性が強まっている。
一方、海外勢からは日銀の円高対策に注視する中、ドル円の買い戻しが優勢であるが、政府関係者のコメントが依然として、注意深く見守るに留まってはいる以上、反発も限定的になっている。
他方、円高にもかかわらず、今朝方に発表された本邦の貿易黒字は予想+4,663億円から+8,042億と2.2倍を記録しており、海外勢の視点から見れば、貿易不均衡の側面では円高余地を残しているため、安易に単独介入に踏み切れないのが現状なのかもしれない。
ペットチャート閲覧(8月23日付け)