株価動向を睨み一進一退!利食い売り優先の展開?
世界的な景気鈍化懸念を背景とした米国債利回りの低下にも一服感が生じており、ドル売り優勢の展開も小休止の段階にある。
市場は薄商いの中、夏枯れ相場と化しており、狭いレンジ幅での攻防を余儀なくされている。ドル円は85円割れに至らず、政府・日銀による円高対策への期待感からドル円を買い戻す動きがある。相対的には、方向感には乏しく、85円台半ば前後でこう着度を強めているが、政府・日銀の対応の遅さが市場の円高意識を増幅させていることは否めない。政府内でも単独介入では一過性の円売り相場とはなる可能性が指摘されており、その後の反動相場を危惧する声も少なくなく、逆に、投機筋による円買いに弾みがつく可能性まで指摘されている。
いずれにしても、株と為替の逆相関性が根強い相場環境なだけに、日本政府としても、株価重視の方針を取らざるを得ないだろうが、円高が株安を誘引させているのではなく、世界経済の先行き懸念があまりにも拡大していることから、株価の上昇を阻んでいる状況にあり、仮に、日経平均株価が9,000割れともなれば、デフレ経済が形骸化している日本経済は憂慮されない状況にあるだけに、効果は限定的とは言え、日本政府の確固たる方針を打ち出す必要性があり、単独介入に踏み切ることが望ましいのかもしれない。
昨日は住宅指標に続いて発表された鉱工業生産など製造業関連の経済指標が好調で、景気の先行き不安を緩和しており、また、不調に終わると思われたアイルランド、スペインの国債入札を無難に消化したことや米小売企業の決算が上方修正されたことがNYダウを押し上げているが、5連続営業日で400ドル近く続落した後だけに、小反発を見るべきであろう。そして、潜在的なリスク回避志向は健在であり、上昇局面では利益確定売りに圧されているのが現状であり、株・為替とも上値の重さが意識されている。