株安進行中!ドル円85円割れ必至も反発警戒?
注目されたFOMCにおいて、FRBは政策金利を予想通り据え置き、その後の声明で「生産と雇用の減速などから、景気回復ペースは予想より一段と緩慢に」と前回の声明文の内容「景気回復ペースは進展、労働市場も徐々に改善している」からは一変している。米経済の減速懸念から、日経平均株価は円高の影響を強く受け、早朝から下げ足を速める中、ドル円85円割れ目前になっている。
FRBは超低金利の維持性を背景に、事前に報じられていた追加緩和策であるが、償還を迎えるモーゲージ債(MBS)の償還金を米国債に再投資する旨を発表したことを受けて、米債券市場では2年債0.521%(−0.008)、10年債2.765%(−0.064)、30年債4.009%(−0.008)と軒並み低下、特に長期債利回りの低下意識が強まっており、米ドルは前場の上げ幅を解消しながら、対主要通貨で全面安の展開になっている。
結果的にはFRBは事実上の金融緩和に踏み切ったことから、デフレ経済に対する警戒意識が拡大しているとも解釈できる。一方、昨日の日銀金融決定会合では為替動向には触れず、日銀は景気動向を見守るに留まり、今後の景気刺激策にジレンマが生じている。いずれにしても、当局の超低金利政策が顕在化しており、更に量的緩和枠策を実施したとしても、流動性資金が金融機関に滞留するのみで、景気浮揚策効果としては限定的と言えるだろう。
他方、中国の7月貿易統計の悪化や中国経済の鈍化懸念なども踏まえて、政府・日銀としては、海外勢の動向を注視しているが、景気刺激策の手段が限られているのが現状であり、即効薬としては、円売り介入操作が考えられるが、市場のコンセンサスは、介入操作実施に対する警戒意識が薄れており、効果的な介入操作を実施する難しさに直面しているのも現実であろう。