不安視される米雇用統計!ドルの戻り売りに妙味?
先に米7月ADP全国雇用者数は改善されたものの、昨日の新規失業保険申請件数は下振れするなど、雇用情勢の厳しさが指摘される中、ドル円は再び85円台に突入、そして、ユーロドルも一時1.32台まで上昇するなど、ドル売り志向は健在であるが、市場は今晩の米雇用統計を控えて、試行錯誤の段階であり、株・為替共に小動きの展開に陥っている。一般的にはADP統計の信憑性の問題、そして、週単位の新規失業保申請件数では米雇用情勢の実態を図る術もなく、おしなべて、経済指標としては重視されてはいない傾向にあり、あくまでも米雇用統計に対して補助的な役割でしかなく、サプライズ的に数値がぶれない限り、市場の動きは限定されている状況である。
いずれにしても、米雇用統計を控えて、株及び為替共に相対的に薄商いの状況の中、相対的に、市場は利食い優先とポジション縮小に傾斜しており、妙味に乏しい展開が予想されるが、一連の経済指標および要人発言からは、米雇用統計が改善するとは到底思えないが、米長期金利の低下が示しているように、失業率の高止まり(事前予想9.6%)と共に、非農業部門雇用者数(予想−6.5万人)の悪化を想定して、ドルの戻り売りを中心に逆張り志向で臨むことが賢明であろう。
他方、トリシェECB総裁の記者会見にも注目されたが、「第2、第3四半期の経済データは予測よりも強くなる見込み」と言及しており、直近の欧州金融機関の好決算を裏付けている恰好であるが、不良債権規模が明確になっておらず、総じて、懐疑的な見方が少なくない。また、同総裁は先のストレステストは市場の信頼を回復する重要なステップであり、銀行システムの底堅さを確認世界経済の回復・輸出・金融緩和策がユーロ圏経済を支えるなどと述べているが、質疑応答ではEU圏の下半期がそれほど明るくないものになることは明らかと警戒感を緩めておらず、ユーロドルの上昇は限定的と判断するのが妥当であろう。