ドル円85円割れ目前!ストップロスの配置に重点?
米政府の「強いドルが国益」との声はトーンダウンする反面、「弱いドルが国益」との声は少なくない。
米製造業新規受注や米中古住宅販売保留指数の悪化と共に、個人消費の伸び悩みが続く中、米個人所得の横ばいと共に、米2年債利回りが過去最低水準をつけるなど、米経済の先行き不安が増す中、個人貯蓄は上昇過程にあり、消費関連の落ち込みが危惧されている。また、住宅関連の先行指数である仮住宅契約件数は住宅控除打ち切りの影響を受けて、過去最低を記録するなど米経済の2番底懸念が広がりつつあり、ドル売り基調が余儀なくされている。また、米某紙が来週のFOMCで、償還を迎えるMBSなどの保有証券について、FRBが景気下支えのため買い入れた投資収益を、再び新たなMBSや国債の購入資金として投資することを検討したと報じられたこともドルの重石となっている。いずれにしても、ドル売り材料に事欠かない中、米経済のデフレ懸念が先行している以上、今後も追加的な金融緩和策と共に、米長期金利の利回り低下が予想されるだけに、市場のコンセンサスとしては、ドルの戻り売りに関心が集まっている。
一方、ユーロドルは米経済指標の悪化材料を重視しながら、一時、1.3260近辺まで足早に上昇しているが、1.32台では随時、利益確定売りが散見されているように、段階的な上昇局面を迎えている。上昇ペースに息切れ感が生じる可能性もあり、ポジションの縮小を念頭に、戻り買いに専念することが得策であろう。他方、円に関しては、日本政府のデフレ対策にジレンマが生じる中、長期金利の低下を促している。原則的には長期金利の低下は円売り地合いなる筈であるが、それ以上に、米経済の今後に注目が集まっており、ドル全面安の影響を受けて、円買い余地を残している。短期筋としては、リスク回避の円買いに傾斜せざるを得ない状況である。そして、本邦輸出企業からは、政府・日銀の円高対策に注視しており、何らかの打開策を期待しているが、日米欧の協調体制には至っておらず、現状では口先介入程度で傍観せざるを得ないと考えるのが順当であり、80円に向けて、難易度の高い相場展開が予想されるだけに、ポジションの縮小を前提に始動することが賢明であろう。