過度な円高・ユーロ高期待→自重局面?
NYダウはEUストレステストが無難に終了し、同時に米企業の業績改善などを理由に、総じて、リスク許容度が強まる中、堅調に推移していたが、昨日、発表された6月米耐久財受注が市場予想に反して、2カ月連続で下回り、米製造業の鈍化ペースが認識される中、米株式市場は利益確定売りに圧されて、5日ぶりに反落して引けている。その後、米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、米経済は緩やかな回復ペースを維持しているものの、経済活動の拡大が力強さに欠け、一部の地区ではここ数週間に勢いが失速したと報告されている。そして、住宅事情においても、大半の地区で低迷しており、特に住宅控除終了後の伸び悩みが指摘されるなど、先のFOMC議事録において、バーナンキFUB議長が、米経済の先行き見通しは異常なくらい不確かであると述べた内容と一致、米景気の2番底懸念を払拭できていない状況にある。
いすれにしても、市場のリスク回避志向は根強く、株式市場は利益確定売り優先の展開は否めず、同時に、市場の流動性資金が安全資産の米国債購入に傾斜しており、米長期金利の低下を促している状況を考慮すれば、ドルロングは自重すべき局面であろう。
一方、ユーロドルは、米経済指標の悪化を背景に底堅い状況にあるが、依然として、ユーロ自体の買い材料は皆無に等しく、リスク許容度の強弱に左右されている以上、ある程度のレンジ相場で戦略性を練る必要がある。当面、1.2850〜1.3100のレンジ幅の中で売買志向を高めることが得策であろう。
補足的になるが、本日、RBNZ(NZ準備銀)が政策金利を2.75%→3.00%へと0.25%引き上げる事を決定し、NZランド買いを誘引しているが、景気上昇やインフレ懸念による金利引き上げではなく、豪ドル金利との整合性も加味している。統計的にもNZ金利が豪金利を下回っていることは異例な事態であり、うがった見方をすれば、流動性資金の欠如を露呈している。更に上昇する状況ならば、豪ドルも含めて、NZドルの戻り売りを一考することも得策であろう。