豪ドル円、漁夫の利!80円が視野?
市場全般、EUストレステストの評価を見極めたい動きが先行、ユーロドルは一時、ポジション解消を伴い1.29割れの下値を探る展開が余儀なくされたが、市場の関心も徐々に米国経済に移行する中、欧米株式市場の堅調地合いなどを背景にリスク許容度が強含み、ドル売りが優先されている。
一方、EUストレステストにおいて、不良債権隠しの保有国債がカウントされないため、審査基準の甘さを指摘する声も少なくないが、欧州系金融機関の資本不足が35億ユーロと事前予想より小規模にとどまったことを評価する見解も少なくない。相対的に、欧州国債市場の安定化に繋がるとの見方が先行しており、EU債務国であるスペイン、ポルトガルなどとドイツ国債利回り格差が縮小したことも、ユーロドルの支援材料になっている。市場は買い戻しの動きが早まり、ストップロスを巻き込みながら、一時1.3000台を回復しているが、利食い優先売りと共にポジション解消売りも散見されるなど、予断を許せない相場展開に直面している。
他方、6月米新築住宅販売件数が予想を上回ったことで、米経済に対する悲観的な見方も緩和されているが、新築住宅販売件数は米国の住宅販売の10%にも満たず、中古販売が大勢を占めている以上、評価も分かれるが、今回の改善数値も5月の反動要因が含まれており、また、住宅新価格自体の大幅な下落も寄与しているなど、米住宅市場への見方は依然として厳しい状況の中、雇用情勢の悪化と共に、米景気二番底懸念は根強いものがあり、ドルの上昇も限定的になっている。補足的になるが、豪ドルはEUストレステストが無難に終了し、欧米経済の鈍化を背景に米欧債券利回りが低下傾向にあり、来月の豪準備銀行政策決定会合で利上げは実施されない方向ではあるが、高金利の優位性が見直されており、豪ドルは0.90台まで上昇、機関投資家の動向次第では豪ドル円80円台が視野に入りつつある。