ストレステスト結果良好も審査基準の甘さが露呈?
本日のEUストレステスト(健全性審査)を控えて、ポジション調整が進む中、ユーロ圏では5月鉱工業新規受注や7月消費者信頼感(速報値)が共に市場の事前予想を上回った事が好感されており、同時にストレステストの結果が概ね良好との思惑が働いているため、ユーロドルの追い風となり、1.29台まで急速に回復している。また、米6月中古住宅販売件数が事前予想を上回った事で、欧米株式市場は軒並み上昇する展開を見せており、リスク選考によるドル売り・円売りを
助長させている。
一方、EUストレステストは91の金融機関を対象に行われ、日本時間の24日午前1時に第一弾の発表が予定されているが、一部メディアでは各国の自主性を重んじて、発表の時間帯がずれ込む可能性があり、前倒しで発表される可能性が報じられている。そして、ストレステストの結果待ちの状況の中、既にスペインからは査定の対象になっている27の金融機関には問題なしと報じられているが、査定基準の統一性および明確性が疑問視されている以上、一過性の上昇にとどまる可能性が高いだろう。また、既に、結果が良好であったとしても、査定基準の甘さが露呈される可能性もあり、同時に、ある程度の上昇が折り込まれている状況を踏まえれば、ユーロドルの上昇は限定的と判断し、上値は1.3000前後を売買の判断基準として臨むことが賢明であろう。
他方、NYダウは米大手企業キャタピラーやスリーエムなどが好決算を発表し、業績見通しも改善されてことを受けて、反発に転じているが、同時に、バーナンキFRB議長が下院での議会証言で「一つの選択肢として準備預金金利の引下げを検討中」と緩和策に関して積極姿勢を示した事もNYダウの反発要因になっている。
補足的になるが、市場のコンセンサスは株安に対しては、円買いには反応薄である反面、株高局面では円売りに敏感に反応するだけに、ドル円の底堅さに繋がっている。過度な円高に対しては逆張り姿勢が有効であろう。