G20控え様子見モード!人民元進展せず、円買いにも陰り?
米経済の景気回復に不透明感が生じる中、米国債及び日本国債利回り低下するなど、リスク回避の動きが顕著に表れている。昨日は、NYダウが一時170ドル近く下落したため、ドル円、クロス円は下値を探る展開になり、同時に、ユーロドルも上げ幅を縮小するなど、いずれの通貨も不安定な動きに終始している。
中国人民銀行金融政策委員が、ユーロが安定化すれば、年度末までに中国人民元はドルに対して約3%程度上昇する可能性を指摘したことも、円買い志向を強めているが、同時に、EU圏の債務問題や金融機関の財務悪化懸念が顕在化する中、米金利の超低金利政策観測を受けて、再び円買いシナリオが浮上していることは否めず、ドル円90円台が重石になっている。
一方、ギリシャ国債保証コストの過去最高値を更新したことで、ギリシャ問題がクローズアップされているが、市場はギリシャ関連には飽き飽きしており、市場の反応は限定的であるが、EU重債務国の国債価格の大幅下落を背景に、ユーロドルは一時1.23台半ばから1.22台半ばまで反落、その後、FOMC声明文の弱気発言も手伝い、ユーロドルは再上昇しているが、米景気悪化懸念と米長期金利の低下を材料にしたドル売り局面であり、また、異常な水準まで膨れ上がったユーロショートのポジション調整買いでもあり、ユーロの上昇力は限定的と言わざるを得ないだろう。
週末にはG20サミットがカナダのトロントで開催され、オバマ米大統領は胡錦濤中国国家主席と人民元について協議する予定であり、一応、米政府は中国に徹底的な政策実施を求めていく方針を打ち出してはいるが、米国債の絡みを考慮すると、人民元切り上げの進展は望み薄であろう。
補足的には、米政策金利と連動性の高い2年米債利回りは一時0.63%台まで低下、昨年11月以来の低水準を記録しており、市場のコンセンサスはリスク回避の動きが顕著になっている。米低金利政策継続にも関わらず、NY株式市場は大幅反落するなど、為替及び株式市場共に、上昇局面では利益確定処理が鮮明になっている。