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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロ戻り売り好機到来も!売り急ぎは禁物?

EU・IMF・米財務省がスペイン向け流動性対策に最大2500億ユーロの融資枠を検討が報じられたことを受けて、ユーロドルは終始軟調に推移していたが、特段、ユーロ買い材料が見当たらない中、スペインで行われた長期債入札結果が予想に反して、順調に終わったことが起因に反発に転じている。ユーロドルの異常なショートポジションを背景に、投機筋による反動買いを加味したものと思われるが、反面、入札利回りは上昇に転じているため、必ずしも、恒常的なユーロ買いとは言えない状況にある。他でも、昨日の米5月住宅着工件数が4月末に住宅減税を打ち切った影響もあるが、市場予想を下回る結果となり、また、メキシコン湾の原油流出問題が英経済の減速を促進させる可能性、そして、英BPは米政府に対して200億ドルの拠出金に合意を見たが、今後の負担増が早くも指摘されており、市場はリスク回避によるユーロポンド買い需要が増す可能性もある。
そして、米国サイドでも原油流出は経済界の大打撃であり、景気回復時期を大幅に遅らせる可能性まで指摘されている。それ故に、米利上げ観測も浮上していたが、米低金利政策の長期化が観測されるなど、様々なユーロドルの買い戻し条件が揃ったとも言えるが、逆に、戻り売りの好機が到来しているとも解釈できる。いずれにしても、ユーロドルは1.23台半ば前後からはストップロス買いを招いており、同時に、1.24前後でも同様にオプショントリガー及びストップロス狙いの買いも予想されるだけに、相場の落ち着きを待ってから始動することが賢明であろう。
一方、本日はEU首脳会議が控えており、EUはEU加盟国の財政再建時に必要な資金支援をすると示唆していることが、今回のユーロ買いを後押ししているが、EU/IMF/米財務省の支援策を仰がなければならないほど、スペインの財政内容の悪化を如実に表している以上。ユーロドルの上昇は一過性に終わる可能性を秘めている。

ペットチャート(6月14日作成分)


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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