景気浮揚にはユーロ高待望論強しも!賞味期限短し?
先のギリシャ国債の4段階格下げに加えて、スペイン、ポルトガルなどに対する金融支援要請観測がくすぶる中、ユーロ加盟国であるスペイン、アイルランド、ベルギーなどの国債入札が順調であったことが確認されて、投資家心理を示すVIX指数も25台まで緩和されている。依然として、手掛かり難ではあるが、欧州株式市場の反発に伴い、NYダウ平均は213ドル高へと急反発、年初来の下げ幅を解消した恰好で10400ドル台を回復。為替相場においても、売られすぎたユーロの買い戻しが優先され、1.23台まで上昇し、リスク回避によるユーロ売りが鎮静化しつつある。
しかしながら、重債務国の発行債利回りは、依然として、上昇過程にあり、将来的な財政負担を強いられるだけに、欧州債務危機が回避されたと判断するのは時期尚早であろう。同時にNYダウの上昇を好感して、日経平均株価も10,000円台を回復しているが、株高相場に浮かれる状況ではなく為替相場においては、ポジション解消が伴い、適宜な利食い局面を迎えていると解釈するのが妥当であろう。
一方、ECBはギリシャ国債に5%のヘアカットを追加適用すると発表、また、サルコジ仏大統領はユーロ安で欧州製品の競争力が増していると発言、ユーロ安容認姿勢を示唆しているが、世界経済の景気浮揚論にはユーロ高待望論が浮上しているため、市場の反応は限定的になっている。ただし、前述したように、ユーロドル及びドル円相場もリスク回避と共に、ポジション縮小による戻り売り優先相場になっていることは無視できず、もう一段の上昇局面では再びショートに転じることが一考であろう。