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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

高金利通貨の誘惑が続く?

FOMCの継続的な利上げ0.25%はすでに折込済みとは言いながらも、4%台の米金利には魅了されるのが投資家心理でもある。金利が高ければ下値リスクも付きまとうのが、相場の世界であるが、日欧の経済が回復途上だけに、世界の基軸通貨と高金利通貨に仲間入りした米ドルに対する信頼性が増してくる。しかしながら、半永久的に高金利通貨が上昇するわけでもなく、景況感が増しているインフレ懸念の金利上昇には、通貨もそれなりに評価されるが、経済成長に不透明感が生じると、いずれは財政面におけるツケが回り、経済低迷と共に通貨の急落も考える必要がある。
★9月はじめからの円安傾向が顕著であるが、対米ドルでは110円前後から2ヶ月足らずで6円以上の上昇を見せている円安相場。ドル円は10月27日、2年ぶりとなる116.14円まで上昇となれば、円の全面安が継続中と言わざるを得ない。過去2ヶ月での各主要通貨の円安傾向と日本円との金利差を探ると以下の通りである。
通貨   9月初旬 〜  10月末    円安    各国短期レート
米ドル円 110.00円 →115.70円 5.70円安 4.00%
ユーロ円 137.50円 →139.60円 2.10円安 2.00%
ポンド円 201.00円 →205.20円 4.20円安 4.50%
豪ドル円 83.70円  →86.70円 3.00円安 5.50%
NZドル円77.30円  →81.40円 4.10円安 6.75%
カナダ円 93.00円  →98.40円 5.40円安 3.00%
スイス円 89.00円  →90.40円 1.40円安 0.75%
上記を見ても円安が各国の金利体系に沿って、円から外貨へのシフトが顕著であることが理解できるが、実質的には金利の高い通貨ほど円安が加速的に進行しているが、リスクの高まりも配慮する時期に来ている。
米ドル円を例にとれば、9月初旬の直物110.00レベルでは2ヶ月先物ドル円レートが1.30円程度ディスカウントされ、実質的な11月初旬のドル円レートは110.00−1.30=108.70円であったことを踏まえると、現状のドル円115.70からの比較では108.70→115.70円となり、7円(6.3%)の円安が進行したことになる。他の通貨にも適用すると
ユーロ円は2.10+0.40=2.50円(1.8%)、ポンド円4.20+1.50=5.70円(2.8%)、豪ドル3.75円(4.4%)、NZD円5円安(6.4%)、カナダ円5.85円(6.5%)、スイス円1.50円(1.7%)となる。米ドル、オセアニア、カナダドルに対しての円安が急速に進んでいることが判る。 金利を背景にした円安が進むことは否めないが、この数年の間、ドル円の年間変動率が10%前後で推移していたことを考えると、2ヶ月間で6%前後の円安には要注意と言っても良いだろう。
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今週も気の許せない週となるが、1日の米FOMCの利上げは確実視されているが、FRB議長交代を発表した直後だけに、むしろマーケットは12月の利上げを示唆するような、楽観的なコメントを期待すると思われる。それまでは米ドルロング主体が賢明であるが、次の日3日にはECB中銀の政策金利が控えており、利上げの可能性は99%ないと思われるが、来年度以降の利上げ期待を含めて、年内利上げを示唆するような発言でもあれば、ユーロドルの反発もあり得る。相対的にポジション調整が進み、乱高下は想定すべきであり、ポジションを縮小しながらの戦略に徹したほうが賢明である。同日にはFRB議長の経済見通しもあるが、用済みのFRB議長に対してはマーケットの反応も限定的と見るのが正解である。そして4日にはまたもや物議を呼ぶ米雇用統計ともなれば、市場参加者もポジションの調整が主体となる相場であろう。
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*********今週のペットでも判る簡単チャートSummary********
注:本チャートは短期的視野に形成されたものではありません、週2回の事前発表はご利用者の参考のためのものであり、収益及び損失局面も起こりますが、売買のリスクを軽減した時点での売買形式とご承知ください。投資金額を設定する時には余裕を持ち、3段階ぐらいの投資資金の分割を念頭に売買を実施することをお勧めいたします。
▲ドル円
過度な円安基調がピーク感を覚えるレベル。ドル円115.65の売り推奨。いまだレンジ相場の様相であるが、下値リスクが上値リスクを上回っている状態が継続している。
▲ユーロドル(平均乖離幅28円)±5円現状の乖離幅 23.95円
先週は1.1955のユーロドル買いを推奨したが、利益確定も可能であるが、チャート上では依然として乖離縮小が続いており、現状の1.2065レベルでも買いの許容範囲である。さすがに23円割れの段階ではユーロドルの買いが強く、1.200割れの買いには安心感がある。直近の乖離幅は以下のとおり。
24.25円→23.70円→22.60円→23.95円 22円台になればユーロドル買いチャンス。
▲豪ドル・NZドル(平均乖離幅 豪ドル26円・NZドル33円)
豪ドルは期間中に売り局面が生じ、乖離28.30円でポジション解消レベルの売り0.7552。再び買いレベル0.7496乖離28.95に達し、買いを推奨する。NZドルは、乖離幅34.25円と模様眺めに転じている。35円近辺まで待ってからのNZドル買いを推奨する。0.70割れでは買い方向へ。
▲ポンド(平均乖離17円から20円に接近中) 現状の乖離26.10
ポンドの買いシグナルが点灯中であるが、相対的には弱めのシグナルと見て、前回同様に少な目の買い継続中、1.75台からの上昇だけに1.77台では一部利益確定も考慮することも必要。
▲カナダドル(平均乖離幅 18円)現状乖離幅17.30円
乖離幅が平均乖離幅近辺で上下動しているが、売り買いの基準に到達しておらず、様子見が継続中。
▲豪ドル円/NZドル円裁定取引(平均乖離基準値6.50)現状乖離幅 5.30円
乖離幅が縮小、直近の推移を比較してもNZ円の強さが目立つ。一時は9円台まで拡大した乖離も7.90→6.85→6.30 そして5.30円となれば、反対取引のゾーンに接近中。
豪ドル円買い86.70+NZ?円売り81.40であればリスクも限定的。少なめからのスタートを推奨する。5円割れが生じれば、強気な裁定取引に移行できる。
▲ドル円+ユーロ円『単純加算方式採用』上限252下限242円
円安が止まらず、過去の上限252円レベルを軽く突破しているが、円安にもピーク感ありと見て、先週同様にドル円売り115.65+ユーロ円売り139.60=255.25円の売りを推奨する。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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