ドル円92円台では調整売りが主役!上昇は限定的?
明日発表される米5月雇用統計について、オバマ大統領から強い雇用統計期待しているとの発言が伝わっている。本日発表される米5月ADP全国雇用者数は米雇用統計の先行指標として注目されているが、事前予想は7万人増と前回3.2万人増から大幅な改善が見込まれており、雇用回復期待の高まりから、NYダウは大幅に反発、株式市場の追い風となり、市場は株高円安期待を助長させている。また、ドイツ政府がEU圏国債について現物債を保有せずに保証を購入するネーキッドのCDSを禁止する法案を閣議決定、そして、ECBがEU債務国の国債購入を見送ったことで、債券利回りが上昇するなど、依然として、ユーロドル売り材料は事欠かない状況である。
一方、鳩山首相の辞任により、海外勢からは繰り返される首相交代劇を回転ドアーと非難されているが、政局不安と共に円売りが段階的に進行する中、円安論者とも言われる管直人氏が早々に立候補したことから、円安期待が高まっている。しかしながら、1月7日時点での話題であり、その後のユーロ財政赤字懸念が拡大した経緯と共に、ユーロの信認性低下が円買いの受け皿になっており、また、92円台では随所に実需売りと利益確定売りが散見されており、諸々の事情を考慮しても加速的な円安には繋がらないと判断するのが順当であろう。
他方、イラン中銀は外貨準備から450億ユーロを売却し、米ドルと金へのシフトがと伝わってはいる。また、中国をはじめとして、新興国などのユーロ外貨準備比率の低下は免れない状況であるが、あくまでも新規のユーロ債に対する手控えであり、既に含み損がある中でユーロ債売却は更に損失拡大をもたらすため、積極的なユーロ債売却にならないであろう。また、ユーロ圏の債務問題が長期化する可能性が高く、ユーロドルの売り圧力は払拭できない状況にあるが、現状のユーロショートの膨らみが解消されない限りは、投機筋としては、更にユーロショートを積み上げる難しさに直面している。それ故に、引き続きユーロの上昇局面を活用した戻り売りの展開で臨むことが賢明であろう。