ユーロドル正念場!1.2000で協調介入が視野に?
米主要株価指数は序盤堅調に推移したものの、欧州圏を巡るソブリンリスクに伴う経済停滞が強まり、引けにかけて下げ幅が拡大、NYダウは約3ヵ月ぶりに1万ドル割れで引けている。リスク回避志向からユーロドルは1.22ドル割れ、そして、ユーロ円も110円割れと安値を更新するなどドルと円が受け皿となっている。また、ドルと固定相場関係にある人民元にも流出しており、ユーロの流出に歯止めがかからない情勢である。
格付け機関フィッチは欧州の地方財政の赤字が拡大。特にスペインの地方財政のエクスポージャーは、ユーロ危機で厳しい状況であり、格下げも検討中と報道、WSJ紙はスペインの大手銀行ビルバオ・ビスカヤが資金調達難にあると報道している。米系金融機関やファンドは欧州系金融機関への融資を抑制している状況を踏まえると、欧州金融機関の資金調達が深刻になっている状況は否定できない。そして、中国の国家外国為替管理局がユーロ信認性低下問題を協議、ユーロの外貨準備高保有を見直す可能性を伝えていることが、ユーロ売りに一段と拍車をかけている。しかしながら、中国の外貨準備比率の変更はサブプライム問題やリーマンショック時にも指摘されており、その度ごとにドル売りに拍車をかけた経緯があるが、最終的には中国は新規ドル債購入を縮小したにとどまり、自ら損失拡大に繋がる米ドル債売却までに至らなかった。今回も中国のユーロ債保有率ではドイツ発行債が大部分を占めている状況を踏まえると、市場は中国の動向に過敏に反応しているとも解釈できる。
一方、弱体化したユーロ経済に対して、要人発言が相次いでおり、ガイトナー米財務長官はG20において危機防止計画を強化、各国が協調して改革を慎重に計画すべき、EUは安定維持のために必要な行動を実行、そして、米国は英新政権との連携を確信しているとコメント、また、メルケル独首相がドイツは、ユーロが強くて、安定した通貨であることを望んでおり、ユーロを支援すると表明している。
いずれにしても、ユーロドルは遅かれ早かれ1.2000割れの正念場を迎えている状況であるが、同時に、日米共に過度な自国通貨高は景気回復を阻害する要因なだけに、日米欧の協調介入が完全に視野に入っていることを踏まえて臨むことが賢明であろう。