ユーロ反発の兆し皆無!1.2200か1.2000割れに介入操作も??
EU圏諸国の緊縮財政による経済成長への悪影響が懸念される中、ECBによる介入警戒感によって、ユーロドルは一時的に反発する機会があったが、昨日、中央銀行であるスペイン銀行が貯蓄銀行を管理下に置いた事で、スペインの金融不安が拡大。また、スペイン政府が財政緊縮として、2012年まで地方自治体の長期債発行を禁止すると発表。その後も、IMFがスペインの経済回復は脆弱と示唆した事を嫌気して、市場はユーロドルの戻り売りが鮮明になっている。スペインの貯蓄銀行を救済するためには少なくとも350億ユーロが要すると見なされているが、緊縮財政下にあるスペイン政府にとっては深刻な問題であり、ギリシャのみならず、他のユーロ加盟国にも波及することは必至と見られている。これらを受けて、EU国債価格の下落と共に、欧州金融機関の評価損が更に拡大する見方が強まり、ユーロドルの重石になっている。
欧州信用不安が再燃したことで、欧州株式市場は軟調に推移し、同時にNYダウも大引けにかけて急落するなど、株安の連鎖が懸念されている。
市場筋は、欧州各政府が本格的に財政削減策に乗り出してはいるが、未だに不透明な部分が大勢を占めており、ユーロ及びポンドも戻り売りの展開を余儀なくされている。しかしながら、ユーロの過小評価されている状況を踏まえると、一方的にユーロ売りを仕掛けづらい側面があり、また、IMM通貨先物の異例なショートポジションが継続されており、相対的にはポジション縮小を念頭にした調整売買に終始せざるを得ないだろう。
一方、米4月中古住宅販売件数は577万件と市場予想を上回り、昨年11月以来の高水準を記録したものの、4月末まで実施された政府による優遇措置8000ドル控除が含まれているため、市場の反応は限定的になっている。同時に、市場はユーロ圏の信用不安に特化しており、主要な経済指標には大きく感化されない相場環境になっていると解釈できる。
戦略的には、ドル円は90円前後で妙味に乏しい状況が続いており、リスク回避による消去法的な円買い志向は希薄になっている。方向感には乏しく、引き続き89円台半ば割れから押し目買いと90円台後半からナンピン売り姿勢で臨むことを勧める。そして、ユーロドルは依然として、買い材料は皆無の中、段階的に下値を模索する展開が予想されるが、当面、ある程度の反発を考慮しながら、ショートポジションを基本に臨むことが賢明であろう。