ユーロドル1.2000割れ・ユーロ円110円割れが視野に!戻り売りに専念?
ドイツ金融監督庁がユーロ圏諸国のCDSを対象に空売り規制が発表されるや否や、堅調に推移していたユーロが一転して、ユーロ売りに傾斜、対ドル相場は1.24台から2006年4月以来初めて1.22割れを見せている。EUとIMFがギリシャへの協調融資を実施し、市場流動性を不胎化する政策を打ち出し、デフォルトリスクが後退した直後だけに、その反動も大きく、ユーロは主要通貨に対してポジション解消売りを余儀なくされている。
ドイツ財務省は主要金融機関10社の株式、ユーロ圏国債、そして、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の空売り禁止を発表。基本的には投機的なユーロ国債売却を防止する手段の一貫であるにもかかわらず、市場は流動性の欠如を嫌気し、一段とリスク回避志向が強まり、ユーロ債離れと共にユーロ売りが殺到している。特に、欧州の大手金融機関は総じて、ユーロ債務国の国債保有残高が積み上がっており、ドイツ政府が国内の金融機関に対して、空売り規制を実施した以上、ユーロ債券保有機関などは先を争う形で債券売却を助長させている。金融機関にとっても債券価格の暴落は財務内容の悪化や自己資本比率の低下に繋がるため、ユーロ売りに拍車をかけている。しかしながら、ドイツ政府は空売り規制の対象期間を来年3月までとしているが、金融機関名などを含めて、他の規制強化の詳細を見るまでは安易なユーロ売りは控え、戻り売りに専念すべきであろう。
一方、投資家心理を示すVIX指数も30から33台まで上昇するなど、ユーロの信認性低下と共に、ギリシャ国債利回りが再び上昇、他の重債務国の国債利回りも上昇する展開に陥っており、市場はストップロス売り優先を背景に、早くも次の重要な節目であるユーロドル1.20割れ意識させられる状況である。
戦略的には、ドル円はユーロ安の影響から若干円高に傾斜しているが、リスク回避のドル買い相場となっており、相対的にはドル円相場自体はこう着度を増している。91円台前半から押し目買いと93円前後の売りで待機策を勧める。
そして、ユーロドルは大局的には上値の重さは否定できず、1.2000〜1.2400のレンジ相場で模索することを勧めるが、未だにポジション解消売りが優先されており、1.22台以上では損失確定売りが集中しており、また、1.22割れでも同様にストップロス売りが随時散見されているため、下値を探る展開は否めないだろう。反発期待も削がれている段階であり、1.22台半ば以上からショートを勧めると同時に1.21前後から少なめの押し目買いを勧める。