NYダウ暴落後の円買いは限定的!高見の見物が正解?
ギリシャ財政危機が拡大する中、市場のリスク回避志向は根強いものの、NYダウ平均株価が操作ミス「誤発注」との懐疑的な見方もあるが、1987年以降で最大8.7%安を記録、VIX恐怖指数も大幅に上昇し、NYダウは一時、10000ドル台を割り込み、市場はパニック現象を見せながら、株式市場並びに為替市場は衝撃的な展開を見せている。
為替市場においては、ユーロドルの軟調地合いを背景にして、安全資産としての円買いが加速していたが、NYダウの急落により、円買いが更に殺到、ドル円相場は93円台から88円割れと2000年以降では前代未聞の展開を見せている。同時に、有資源国通貨を主体とした円キャリートレードの解消も余儀なくされており、ストップロス主導の展開にまで陥っている。
しかしながら、株式及び為替市場も誤発注した思われるレベルまで急回復しているように、市場は徐々に冷静さを取り戻しつつあるため、ドル円相場は90円割れでは底堅い動きと判断するのが妥当であろう。いずれにしても、チャート上では計り知れない相場形態に至っており、また、未だに、実需の円買いがドル円及びユーロ円にも波及している状況を踏まえると、ドル円の上昇は限定的にならざるを得ないだろう。
本日は注目の米雇用統計は改善予想ではあるが、市場の関心はポジション調整に大きく傾斜しており、経済指標自体のインパクトが半減しているだけに、慎重姿勢を重んじて、通常よりもレンジ幅を拡大して、先ずは市場心理を探ることが先決であり、安易な相場感で臨むことは禁物である。
一方、EU・IMF資金支援を受けることが決定したギリシャ国内では暴動と共に政情不安から更に経済活動低迷が余儀なくされており、また、ポルトガル、スペンなど財政悪化国へ波及する可能性が指摘されている以上、ユーロドルの戻り売りが市場のコンセンサスであり、短期的にはユーロドルショートを基本にして、1.25割れを見るまではロングは自重することが得策であろう。
戦略的にはドル円は短期筋の買戻しが先行しているが、実需の売りが92円前後ではソコソコあり、92円前後が重石になっている。また、本邦の財政赤字規模はギリシャの比ではないことを踏まえると、円が安全資産とみなすには疑問符が残る状況である。円買いが加速してはいるが、過度な円高期待は自重することが賢明であろう。92円台半ば前後からナンピン売りで臨むことを勧める。一方、買いは90円割れにストップロスを配置して、90円台半ば割れから押し目買いを勧める。そして、ユーロドルは昨日のレンジ幅を重視して、1.25割れから押し目買いを勧める。売りは1.27台以上で模索することを勧める。