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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロ売り材料満載中!反動買いVS狼狽売り5分5分?

大型連休中、中国の預金準備率引き上げや豪州中央銀行の利上げが実施される中、ギリシャ危機を背景に欧州諸国の財政難が拡大するなど、市場は大荒れの展開を見せている。
EU・IMFはギリシャ政府に対し、支援規模は当初の450億ユーロから総額1100億ユーロ(3年間)に引き上げられる事で合意しているが、ギリシャ政府は、09年財政赤字の対GDP比13.6%を2014年末までにEUが定める3%未満に縮小することを求められている。ギリシャ政府は公務員給与削減、3年間年金凍結、付加価値税の引き上げなどが余儀なくされる中、大規模ゼネストと共に暴動騒ぎにまで波及するなど、ギリシャ信用不安が世界経済へ飛び火している。
一方、米格付け会社ムーディーズは、今回のEU・IMF資金支援によって、ギリシャの債務危機の終焉を意味するものではないと示唆しているが、同時に、ポルトガル格付けを引き下げの方向で見直していることを明らかにしており、ギリシャと同様にEU・IMFに資金支援要請が視野に入っており、ユーロの存在意義が問われている。
ユーロドルはギリシャ政府がEU・IMFへ資金要請した時とギリシャ支援決定したことにより、一時ユーロドルの買い戻しが散見されたが、財政削減の抜本的な解決的な手段は見当たらず、ユーロドルの買戻しは目先の利食いに留まっている状況であり、市場のコンセンサスはユーロの反発局面では恰好の売り機会を露呈している。
穿った見方をすれば、連休中、ユーロドルは大きな節目である1.30割れを見せたことから、投機筋及び機関投資の投げ売り状態が続いているが、これだけの悪材料が噴出しているにもかかわらず、逆に底堅い状況にあるとも言えるのかもしれない。他方、米国債利回りは低下傾向にあるが、リスク回避志向と共に、質への逃避が急がれている。現段階ではドル全面高と共に、付随的に円買いを誘引している状況であるが、ユーロドルは1.28割れ、同時に、ユーロ円が120円の大台割れ展開を見せたことにより、ユーロドルの加速的な売りは後退すると可能性があり、当面、面、IMM通貨先物におけるユーロのネット・ショートポジショや株式市場の動向を見極めてから慎重姿勢で臨むことが賢明であろう。
戦略的には、ドル円は実需売りに圧されて95円台には届いてはいないが、政局不安のみならず、株式市場の大幅下落により、円売りが仕掛けやすい状況にあることは変わらず、ドル円93円台半ば割れから押し目買いを勧めると同時に、95円前後の売りで待機策を勧める。そして、ユーロドルは底割れの展開ではないが、ショートを基準にして、1.3000前後からの売りと1.28割れから少なめの押し目買いで対応することを勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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