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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドルとユーロの明暗分かれる!ユーロ1.3000が視野に、円は中ぶらりんの円安?

米格付け機関格付け会社S&Pが、ギリシャ国債の格付けを投機的水準「ジャンク債」まで3段階引き下げられ、同時に、ポルトガル債についても2段階引き下げため、マーケットに衝撃が走っている。先週末にEU及びIMFはギリシャ支援策の発動を決定する中、主要国であるドイツ政府がギリシャ支援には厳しい条件を付けた関係上、ユーロドルは上値の重い展開ガ余儀なくされていたが、今回の格下げ決定により、ギリシャのデフォルトリスクを一層高める結果となり、もう一段の格下げ案が市場を席巻している。その背景には、懸念されていたギリシャ国債とドイツ国債の利回り格差がユーロ統一以来最高水準まで拡大しており、2年債は11%、5年債は8%、そして、10年債は7%以上と、ギリシャ調達難が緊急事態あることが確実視される中、リスク回避を背景にした狼狽的なユーロ売りを誘引している。
市場ではギリシャのデフォルトリスクはある程度は織り込み済みであるとは言え、今回、ポルトガル国債の格下げが加わったことにより、スペインなどの他の財政赤字国に波及することは必至と見られている。結果的にはEUの決断力不足と対応策が問われる中、ユーロ集合体の弱みを如実に表している。いずれにして御、ユーロ経済全般の信用力低下に繋がるだけに、当面、ユーロドルの回復は限定的にならざるを得ないだろう。
一方、米4月コンファレンスボード消費者信頼感指数が57.9と予想53.5を大幅に上回り、リーマンショック以来の水準を回復、最近の優良企業の好決算を裏付けている。そして、雇用情勢の改善見通しが高まっており、5月4日の雇用統計においては非農業部門雇用者数がプラスに転じる可能性が指摘されるなど、ドルとユーロドルの明暗が分かれている。現状ではユーロドルのもう一段の下落(1.300割れ)を想定せざるを得ない相場環境である。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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