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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円93円&ユーロドル1.34利食いと損切りが混在!悩ましい展開へ?

米金融大手ゴールドマン・サックスの良好な決算内容を好感したNY市場は、序盤から米ドル買いが先行し、ドル円は93円台の高値圏まで上昇となり、クロス円も連れ高の様相を見せている。ゴールドマン・サックスの純利益が前年比2倍近くの好決算にもかかわらず、同株価は下落しているが、他の金融株並びに優良企業の好決算を受けて、NYダウは小幅ながらも堅調に推移している。一方、米証券取引委員会(SEC)の提訴の是非が問われる中、英当局も調査に乗り出しており、同時に、AIGも法的手段の検討が報じられており、予断を許せない状況には変わりがないが、株高を背景に、米景気回復期待感はより強まっているのが現状である。
日本サイドでは、相変わらず鳩山政権の不信感が高まりを見せている中、海外勢の日本国債離れが進行、そして、国内でも国債売却消化力の低下も重なり、来年度以降の赤字国債増発に支障を来す恐れも浮上するなど、一時程の安全通貨としての円買い志向は後退している。
他方、ユーロドルはEU及びドイツZEW景況感指数の大幅な改善を受けて、1.35台前半まで上昇する場面もあったが、ギリシャの国債入札は順調に実施されたが、利回りは相変わらず高コストであり、また、ギリシャ政府がEU・IMFによる資金支援策協議を10日間継続すると発表したため、支援自体に懐疑的な見方が先行するなど、ギリシャのデフォルト懸念が更に強まりを見せている。それ故に、リスク回避のユーロ売りがマーケットを席巻しているだけに、当面、1.35台ではポジション調整売りが優先される展開が予想される反面、ユーロショートの積み上がりの観点からは1.34割れからのショートを強行できない側面がある。
一方、英世論調査では与党労働党、野党保守党を押さえ、第3党自民党が支持率トップに躍進したとの報道に、財政改革期待をした市場筋の買いも伝えられているが、いずれも英議会の過半数議席獲得は出来ず、政局不安を伴う財政再建計画の遅れが懸念されており、ユーロドルと同様に上昇段階ではポジション調整売りに圧される相場展開が予想される。
戦略的には、ドル円は93円台半ばに届かず、総じて、同レベルでは利食いと実需売りに伴い、上値の重さを意識しなければならないが、日米金利差縮小により、円買い材料が希薄になっている以上、ドル円の下値も限定的になっている。正攻法ではあるが、92円台半ば前後から押し目買いと共に93円台半ば以上からナンピン売り姿勢で臨むことを勧める。そして、ユーロドルは前述したように、1.35台が重石になっており、同レベルからの売りを勧める。一方、買いは反動買いを警戒して、1.33台半ば前後から押し目買いで臨むことを勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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