憶測先行相場へ!方向感欠如?
米週間失業保険申請件数が事前予想よりも大幅に悪化したため、再び93円を挟む展開になっているが、フィラデルフィア連銀製造業景気指数と3月鉱工業生産は上昇、2月対米証券投資も大幅な買い越しとなっており、米株式市場は1年7か月ぶりの株高局面を迎えている。
一方、先のバーナンキFRB議長の議会証言で、早期利上げ観測は後退しているが、昨日もアトランタ並びにセントルイス連銀総裁は、景気は回復傾向にあるが、緩やかな回復が予想され、低金利を解除するには早過ぎると述べており、米長期金利の利回りの低下を促している。相対的に日米金利差の観点からは、円買い要因に繋がるだけに、ドル円の上値の重さを意識させられる状況である。また、中国第一四半期GDPが好調な結果であったことを受けて、人民元切り上げ観測が広がりを見せていることも円買いを助長させている。
一方、ギリシャ支援に関して、EU加盟国の議会承認が必要との見方が台頭する中、ギリシャ政府はEUとIMFが来週中にも会談が予定されている。最終的な支援実施を巡り論議されると見通しであるが、ギリシャが支援要請を再び拒否する可能性さえも帯びている。ドイツ政府がドイツ国民の支持を受けていない段階なだけに、厳格な条件付きのギリシャ支援策が見込まれている以上、ユーロ圏内の不協和音を背景に、ユーロドルの反発も限定的にならざるを得ないだろう。また、ギリシャ政府が5月に必要とされている120億ドルの資金調達のメドが不安視される中、EUはポルトガル政府に対しても、財政赤字削減策を要請しているが、2年後に財政赤字をGDP比3.0%以内と厳しい内容であり、既に実行不可能との見方が大勢を占めている。ユンケル・ユーログループ議長もギリシャ問題だけがユーロ下落の唯一の原因ではないと強調している。直近のユーロドルは1.37台には届かず、1.35割れ寸前までと軟調地合いにあるが、同レンジ幅の中で戦略性を高めることが賢明であろう。
他方、米優良企業の好決算を受けて、NYダウは小幅ながらも堅調に推移しているが、依然として、雇用情勢に対する弱い指標が続いているが、同時に住宅関連の差し押さえ状況が過去5年間で最大と米景気回復の鈍さも指摘されており、米ドルロングがやや優勢と言う段階であろう。