ドル円&ユーロ買い材料は希薄!戻りは限定的?
市場は手掛かり難の中、相場は相次ぐ臆測先行の展開に陥っている。懸念されていたギリシャのTB(財務省短期証券)の入札が無事通過したことを受けて、ユーロ売りに一服感が生じている。ただし、EUとIMF支援策実施に係る不透明感は払しょくされておらず、ユーロドルの上昇は限定的になっている。
一方、今回の順調な入札により、目先のリスク回避志向が後退したことから、メルケル独首相は、現時点ではギリシャへの緊急融資が必要でないことを示唆、同時に、仏財務相がギリシャ支援策をめぐる誤解や意見の不一致の余地なし、ギリシャが支援策を発動できるかに関してEU内に混乱はないと述べたことも、ユーロの下値懸念を希薄にしている。しかしながら、実質的にはギリシャ国債と独国債との利回り格差が縮小しない限り、ユーロドルの戻りは限定的になる可能性が高いだろう。
他方、本日のバーナンキFRB議長の議会証言に関しても、FRBがFOMC声明の文言を変更する可能性を指摘したレポートが浮上、また、本邦サイドでは民主党のデフレ脱却議連が購買力平価を参考にして、1ドル120円程度の円安誘導を含む政策要望案などと現実離れした報道もあるが、当事務局長がマニフェスト要望案の為替部分の記述については表現を弱める方向で修正するなど、相対的に一過性の材料に過ぎず、相場を動意づかせるまでには至っていない以上、大きな動きを待ってから、大局的に待機姿勢で臨むことが賢明であろう。
いずれにしても、市場はギリシャ信用問題、人民元切り上げ問題、そして、米早期金融引き締め観測などと多岐に渡っており、方向感が定まらない状況下にある以上、繰り返しになるが、当面、直近のレンジ幅の中で売買を模索することが賢明であろう。
戦略的には、ドル円は一応、民主党の円安要望論もあり、底堅い状況を作り出している。昨日のレンジ幅を視野に入れて、92円台半ば前後から押し目買いを勧める。一方、売りは93円台半ば以上からナンピン売りを模索することを勧める。そして、ユーロドルはユーロショートの反動を背景に、1.35台の底堅さが意識されており、1.35台半ば前後から押し目買いを勧める。一方、戻りは限定的と判断し、1.37前後からナンピン売り姿勢で臨むことを勧める。