ドル円&ユーロ戻り売り優先の展開?
ユーロ圏では、ギリシャ信用不安問題が再燃後、EUおよびIMF支援策の具体性が問われている中、ソブリンリスクを背景にして、ユーロドルは1.33割れと軟調な展開を見せていたが、ギリシャ財務相が第1四半期の財政赤字は前年同期40%縮小したと公表、そして、ECB理事会後に、トリシェECB総裁がギリシャはEUの資金支援を必要としないと示唆したうえ、デフォルト懸念もないと発言したことを受けて、過剰ともいえるユーロショートの反動買いを誘発、ユーロドルは1.33台後半まで急回復している。しかしながら、ギリシャの10年債国債利回りは一時7.5%台に乗せ、ドイツ国債利回りとの格差は4.5%まで拡大、ギリシャの株価指数もピーク時の4分の一まで急落している状況を考えると、未だにギリシャのデフォルト懸念は払しょくされていないのが現状である。
一方、ECBは政策金利を事前予測通りに1.0%に据え置いたが、ギリシャの資金調達コストの高止まりを懸念しながら、資金供給オペの適格担保の最低基準を来年以降もBBBマイナスで維持、ギリシャ支援のIMF関与について非常に悪いと言った事はないと述べるなど、昨日のトリシェECB総裁発言がユーロドルの主な買い材料になっているが、ユーロドルの戻りは限定的と言わざるを得ないだろう。
他方、米雇用情勢の脆弱性が指摘される中、米新規失業保険申請件数が前週比1.8万件増の46万件と、事前予想43.5万件を上回ったことも、ドル売りを誘引しているが、市場の注目は人民元の切り上げ観測を注視している。ガイドナー米財務長官が急遽訪中し、人民元を巡り突っ込んだ協議が行われた模様であり、市場のコンセンサスは円高要因として受け取られているが、日中の経済成長率を比較しても、仮に人民元の切り上げが実施されたとしても、ドラスティックな円高局面は考えづらく、一過性の円買いに終わる公算が高いと判断するのが妥当であろう。とは言え、ドル円の上値の重石であることは間違いなく、ユーロドルも含めて、ドル円も戻り売りスタンスで臨むことが賢明であろう。
戦略的には、ドル円は方向感に乏しい中、円買い並びに円売り要素を多分に含んでおり、93円前後を挟んだポジション調整相場になる可能性が高く、92.50〜94.50のレンジ幅で売買を模索することを勧めるが、93円割れから押し目買いと94円前後からのナンピン売りで臨むことを勧める。そして、ユーロドルは1.33割れからは底堅い側面を見せているが、直近のレンジ幅を重視し、1.33割れから押し目買いと1.34台からのナンピン売りを勧める。
★★今週のペットチャート