ユーロ・ポンド売り材料満載だが!売りきれない展開続く?
英欧ソブリン・リスク再燃や米低金利政策の再確認などを背景にして、ユーロドル及びポンドが波乱含みの展開を呈しているが、ギリシャの債務危機をめぐる懸念が強まったことを受け、ユーロドルは一時1.33ドル台半ばへ下落、他方、豪ドル、カナダドルなど資源国通貨も金・原油価格の上昇に支えられ、概ねジリ高基調で堅調に推移しており、相場の基調には大きな変化は見られず、相対的にはドル円も含めて、ポジション調整の域を脱していない展開である。
昨日、米FOMC議事録が公開されたが、景気回復基調は緩やかに促進しているものの、早期利上げに関しては慎重姿勢を示している。FRBの低金利政策が長期化する見通しが再確認された事を受けて、米ドル売りを促す要因になっているが、米長債利回り4%前後にも過熱感が生じており、利回り低下によるドル売りの可能性が帯びている。
一方、ギリシャ財務相は一部メディアがギリシャはIMF(国際通貨基金)支援を回避するためにEU(欧州連合)首脳会議での合意の修正を求めるとの報に対して、4月の資金ニーズはすべてカバーしており、EU支援メカニズムの発動を要請しておらず、必要であればEUとIMFの支援メカニズムを利用するが、今のところ必要ないと否定している。しかし、現状のような高い調達コストで長期間継続することはできないも述べている。また、一部では投資家のギリシャ資産売却との噂も広がり、ギリシャをめぐる悪材料がユーロの圧迫要因となっていることは否めない。EUとIMFによる支援策合意時にはギリシャ国債とドイツ債の利回り格差は3.00%程度まで低下していたが、現状では資金難を背景に利回り格差は4.00%を超え、ユーロ導入以来最大となっていることも不安視されている。5月の大量な国債償還を終えるまでは予断を許せない状況である。
早期にEUおよびIMFの支援策を仰ぐことがユーロドルのサポートになるであろうが、それまではギリシャ債務問題を巡り、ユーロドルの売り材料には事欠かない環境にある。他方、ポンドもユーロドルと同様に、買い材料が乏しいが、昨日はFRBの超低金利継続を材料に反発気配を見せているが、ユーロ及びポンドショートの反動によるところが大きく、両通貨とも戻り売り重視の展開が予想される。