米長期金利の上昇限定的!ドル円92円台売り志向強まる?
対主要通貨でのドルが全面高となり、ドル円は特段の買い材料のない中、90〜91円のレンジ相場から一気に92円台に乗せ、また、ギリシャ問題に揺れるユーロドルも1.33割れ目前まで下落するなど、市場はストップロスを大量に巻き込み、様変わりの様相を見せている。
米国債市場では、需給懸念から売りが先行していたが、米5年債入札が不調に終わり、10年物国債が3.85%まで上昇するなど、再び、日米金利差拡大を背景にして、円売りドル買いが優先されている。昨日発表された米新築住宅販売件数は過去最低を記録、4カ月連続改善は見られていないが、当局は今回の落ち込みは豪雪などの影響があると強調しているが、住宅ローンの借り入れ控除が3月一杯で終了することも起因しており、天候不良が主な要因とは言えないだろう。
米雇用に関しては、ガイトナー米財務長官は雇用創出が近いとコメントしており、また、サンフランシスコ連銀総裁も豪雪が東部を襲わなければ、2月の非農業部門雇用者数はプラスだっただろうと、やや楽観的な見方に傾斜しており、4月2日の米雇用統計に対する期待感が高まっていることもドル買い要因にみなされている。
一方、ギリシャ問題に不透明感が高まる中、格付け機関フィッチがポルトガルの格付けをAAからAAマイナスへ格下げ、見通しを「ネガティブ」としたことを受けて、ユーロ売りが加速、必ずしも新鮮味のある売り材料ではないが、本日からのEU首脳会議では明確な具体策が打ち出されてない見方に傾斜している矢先であり、市場は予想以上にユーロ売りに反応している。
他方、カンペーター独副財務相がギリシャ支援でIMF(国際通貨基金)が如何なる役割果たしても、それは一度限りの例外であると述べ、また、ショイブレ独財務相もIMF(国際通貨基金)への支援要請は例外的な措置とコメントするなど、ドイツ政府は苦渋の選択を強いられている状況にある。仮にギリシャにIMF支援が入れば、EUおよびユーロの信認性の低下に繋がるが、最終的にはIMFの関与を例外的に認めざるを得ないだろうが、ただし、その後もポルトガルやスペインなどに対する支援策の矛先が問われる可能性を残しており、IMFの支援策を如何に最小限に留めることがドイツ及びEUの課題となるであろう。