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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ユーロ&ポンドショート解消へ!逆張りの好機到来?

ギリシャの財政赤字削減計画に対して、格付け会社S&Pがギリシャの現状の格付け(BBB+A-2)を確認しウォッチリストから除外し、格付け見通しは引き続きネガティブであるが、一定の評価がなされた事を受けて、ユーロドルは上昇に転じている。EUはギリシャ政府の削減策を評価したものの、独仏政府が支援策に前向き姿勢を見せておらず、総じて、悲観的な見方が先行していただけに、ユーロドルの上昇を阻んでいたが、独財務相がEU圏で財政破綻に直面する国が出た場合、EU圏加盟国は断固とした協調行動を取るとの報道が伝わり、ユーロドルの反転材料になっている。ただし、ユーロ諸国の財政赤字懸念とソブリンリスクが解消されたわけではなく、異常に積み上げられたショートポジションの調整買いが優先された結果と言えるだろう。未だにストップロス買いが散見されており、ユーロドルは底堅さを見せているが、同時に、1.38台では上値の重さが意識されるだけに深追いは禁物であろう。また、ポンドもユーロドルに連動する格好で、1.52台半ばまで上昇しているが、既に、BOEが量的緩和策を拡大する方針を打ち出しており、ユーロドルと同様に高値掴みに要注意である。むしろ、両通貨共にナンピン売りの好機と解釈するのが妥当であるが、現段階ではストップロス買いが優先されている以上、もう一段の上昇を見てから逆張りに転じることが賢明であろう。
一方、注目されたFOMCは政策金利を据え置いた上、長期間に渡って金利を異例の低水準で据え置くことを示唆したことを受けて、早期利上げ観測が大幅に後退したことを受けて、ドル売りが加速、株高、原油高へと市場は様変わりを見せているが、前述したように、ユーロ経済と英国経済の不透明感は拭えず、過度なドルショートは自重局面にある。他方、本日の日銀金融政策決定会合においても、追加金融緩和策が視野にあり、円売り志向が強まる可能性があるが、何度も繰り返し報じられており、材料出尽
くし感の状態にあり、ドル円相場への影響は限定的と見て間違いないだろう。
戦略的には、ドル円はレンジ相場の域を脱しておらず、従来通りに90円割れから押し目買いと91円前後からの売りを勧める。そして、ユーロドルは買いが一段落しているが、ストップロス買いが1.37前後に散見されており、また、利益確定売りと新規売りが1.38台で控えている以上、意外にも狭いレンジ幅の攻防になる可能性が高いが、ユーロドルの上昇は限定的と判断し、1.38前後の売りを基準として、同レベルからナンピン売りを勧める。一方、買いは1.37割れから少なめの押し目買いで対応することを勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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