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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ソブリン・リスク浸透中!一喜一憂の展開?

市場は連日EU圏のソブリン・リスクに注目している中、方向感の乏しい展開になっている。格付け機関が「ユーロ圏には、ソブリン・デフォルトの可能性ある」などとギリシャを筆頭にして、ポルトガル、スペインなどの大規模な財政赤字を抱える諸国に対して、相次いで格下げ論争を繰り返している。
格付け機関ムーディーズは「英政府による銀行救済プログラムの終了は、英国債の格付けに影響を与え、複数の銀行にとっては格下げの引き金になり得る」と報じており、加えて、格付け機関フィッチが「英国の現在の財政健全化のスピードは遅すぎる」と指摘している。また、同社は、ポルトガル政府が発表した緊縮財政措置に対しポルトガルの財政健全化措置が不十分であれば格下げの可能性を指摘、ギリシャ政府が財政赤字削減計画を実行に移す保証はない、そして、スペインの税収減少を問題視するなど、ユーロ圏を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている。相対的にリスク回避姿勢の強まりは否定できず、ユーロドル及びポンドの重石になっている。
反面、購買力平価の側面からは、ユーロドルは過小評価されている状況にあり、同時に、過剰とも言えるユーロショートの積み上がりから、市場は反発機会を模索する状況にあるが、これだけ買い材料に乏しい状況下では、必然的に市場のコンセンサスはユーロドルの戻り売りに集中せざるを得ないだろう。
一方、ソブリン・リスクが常に意識される中、消去的にドル買いと円買いが散見されており、市場参加者も積極的にポジションを構築できない側面がある。
いずれにしても、ユーロ圏側から具体策が提示されるまでは、ユーロドルの反発は期待薄であり、市場も来週16日に発表されるギリシャ政府の財政赤字削減計画の進捗状況を注視する動きが強まっている。それ故に、直近のレンジ相場を想定した上で、売買志向を強めることが賢明であろう。
戦略的には、ドル円が値頃感もあるが、90円前後でこう着度を強めており、狭いレンジ幅の攻防が予想されるが、89円台半ば前後の買いと90円台半ば以上の売りで待機するしか妙味はないだろう。そして、ユーロドルも1.36前を境にして、ポジション調整色は否めず、昨日と同様に1.35台半ば割れから押し目買いと136台半ば以上からナンピン売りで臨むことを勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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