レンジ相場変わらず!ドル円88〜90&ユーロドル1.35〜1.37?
昨日はギリシャ政府の追加財政赤字削減策を好感し、一時ユーロドルは1.3735ドルまで上昇したが、ECB政策金利はEU圏の経済停滞を理由に、予想通り1.0%に据え置かれてる中、ギリシャを筆頭にして、ユーロ圏全般に財政悪化などの懸念材料が重なり、ECBの出口戦略が大幅に後退している。ユーロは段階的に下げ基調を強めているが、格付け機関ムーディーズがドイツ銀行の長期優先債務格付けを引下げた事をきっかけに、ユーロドルが再度1.36のストップロス売りを巻き込み、ユーロドルが軟調に推移している。
トリシェECB総裁は、ギリシャのユーロ離脱は非現実的と述べ、ギリシャ政府財政赤字削減策を高く評価している反面、IMFがギリシャを救済するのは「適切ではない」との見解を示唆したため、ギリシャ財政赤字削減計画に不安を残す結果になっている。また、トリシェ総裁は強いドルは米国の利益と主張し、ユーロ安がEU圏経済回復に貢献するとの見方も述べているが、同時に、一部のECB理事からも、ECBの物価安定が脅かされる場合、為替市場への介入が正当化される可能性も指摘しており、ECB内ではユーロドル安を容認する動きが台頭している。
一方、ギリシャ首相が債務危機は、将来的に欧州通貨基金の創設を考察する機会だと述べ、ギリシャの信用改善には、EUの支援が必要であると述べているが、仮にギリシャが事実上崩壊したら、負の連鎖はドミノ的に広がり、ユーロは危機に陥るだろうとギリシャ独自の赤字削減計画の限界を意味している。
いずれにしても、市場は不安定なユーロ相場に振り回されている恰好であるが、本日発表される米雇用統計に関しても、改善と悪化予想が混在している中、米ドル自体にも下げ余地が十分にあるだけに、安易な相場観では乗り切れない状況にある。先に、サマーズ米NEC委員長は悪天候で最近の雇用指標に歪みが生じる恐れがあると述べているが、昨日はセントルイス連銀総裁が2月の雇用統計は吹雪の影響で解釈は難しいが、今後の失業保険申請件数の傾向を懸念していると述べるなど暗に雇用情勢の悪化を匂わしている。一部報道では、悪天候のため、非農業部門雇用者数は10万人減が見込まれており、今回の米雇用統計は悪化したとしても、一時的な悪化にすぎないと楽観的な見方も報じられているが、正直蓋を開けてみるまでは分からないのが現状である。
一方、日銀が追加的金融緩和策を検討すると報じられており、円売りに拍車がかかる可能性はあるが、基本的には財政難の中、国債増発が見込まれている以上、長期金利の上昇を阻止せざるを得ない情勢にあり、為替及び株価への影響は限定的との見方が大勢を占めている。