ソブリン・リスク相場!近視眼的ディトレードでは対応不可?
EU財務相会議で具体的な削減支援策が提示されなかったことから、ユーロドルはポジション調整買いが一巡後は急速に下げ足を速めている。市場の潜在的なユーロ経済への悪影響がある限り、何らかの対策が講じられたとしても、現状では戻り売りスタンスが市場のコンセンサスになっており、直近の1.38前後が上値の大きな壁になりつつある。ギリシャ政府に課せられた財政削減策は既に、ギリシャ国内でも否定的であり、同時に大規模なゼネストが計画されているが、EU、ECBにとっては他のポルトガル、スペイン、中東欧諸国の財政赤字を抱えているだけに解決策が限定されているのが実状であり、更にユーロドルの下落に拍車が掛かる可能性が指摘されている。一方、ギリシャ政府に10年度の財政赤字をGDP比4.0%の引き下げを求めているが、トリシェECB総裁は財政赤字のGDP比を今年5.25ポイント引き下げることを要望していることもギリシャへ政府のの圧迫要因になっている。当面、ユーロドル1.35割れも辞さない環境にあり、ユーロロングは自重することが賢明である反面、利食いの買戻しも散見されており、1.35前後を清算ポイントとして戦略性を高めることが賢明であろう。そして、英国もEU圏加盟国と同様、財政難に直面しており、欧州2大通貨の同時安が考慮されるだけに、当面、消去的にドル買いニーズが高まる可能性がある。
他方、米国の出口戦略を好感、ドル円が91円台をクリアーしたことを受けて、上値を探る展開ではあるが、同レベルからは、随時利食いと実需の売りが控えており、90~91.50のレンジ幅で売買を模索することが賢明であろう。市場がソブリンリスクで揺れ動いている以上、相対的に積極的なポジションを取りづらく、ポジション解消が想定以上に早まっている関係上、近視眼的なトレードでは対応不可能と見るのが正解であり、中期志向またはワイドレンジで臨むことが求められる。