米新規制案⇔懐疑的→ドルの戻り買いに妙味?
市場は注目されたボルカー米経済再生諮問会議議長の議会証言を見守る姿勢が強まる中、米中古住宅販売保留件数が事前予想より改善、同時に米主要企業の好決算を好感しNYダウは続伸している。
ボルカー・ルール(新金融規制案)自体は事前予想通りに大手商業銀行を対象にして厳しい姿勢を貫いている。特に、自己勘定取引やヘッジファンドに対して、支援の理由はないとリスク投資抑制を強調しており、将来的にも深刻な利益相反になる可能性を指摘している。海外の銀行に対しても米国の規制を受け入れるべきとも証言しているが、金融取引の大部分がデリバティブ取引に過剰に依存している形態を踏まえての勧告であろうが、金融取引の根幹を覆す事態にもなりかねず、市場は緊急な新金融規制案を疑問視している。そして、議会通過が難航することは必至との見方が大勢を占めているが、議会証言が原稿内容通りであることから、市場の反応は限定的になっている。
一方、昨日、豪中央銀行の利上げは見送られことで豪ドルの下落を招いたが、原油・金など商品相場の大幅上昇を背景に対資源国通貨を中心にドル売りが優勢となり、下げ幅を縮小している。そして、ガイトナー米財務長官は上院財政委員会での議会証言で「強いドルを確信している」と述べたもののドル円及びユーロドルは底堅い動きとなり、結果的には方向感の乏しい展開になっている。
ユーロドルは相変わらず、ギリシャ財政問題が重石となっているが、昨日もポルトガル中銀総裁がポルトガル経済の短期的な見通しは相対的に悲観的と述べており、ユーロドルの買い戻しには否定的な見方が少なくないが、バローゾ欧州委員長が本日公表される意見書でギリシャ政府の財政改善計画を支持する考えを明らかにしたことを受けて、ユーロドルは1.39台前半から後半まで上昇しているが、1.4000台ではポジション解消と利益確定売りが控えているだけに上昇は限定的と判断するのが妥当であろう。