リスク選考相場!短期の円買い⇔中期の円売り?
懸念されていたバーナンキ議長の再任については民主・共和両党から承認を受けており、近日中に採決される見通しであるが、米財政難を象徴するように、オバマ大統領は財政赤字削減のために2011年度から3年間歳出を抑制すると発表しており、注目の一般教書演説がトーンダウンする見方も浮上している。米議会予算局は、2010会計年度の財政赤字を1兆3490億ドルと発表、今後、15年度までには2.6%に低下させる見通し発表しているが、日米欧共に財政赤字を背景に出口戦略を見出せない状況が続いており、市場全般にリスク選考型の円買いとドル買いに傾斜している反面、中国の銀行与信引き締めを背景にリスク選好姿勢が緩和されたことを受けて、市場はポジションを取りづらい環境に直面している。
一方、1月の米消費者信頼感指数が3ヵ月連続で上昇したことで、一時ドル売りが強まる場面もあったが、NYダウは小幅安、金は続伸。原油は反落するなど市場はまちまちの反応を見せている。
いずれにしても、市場の注目度は今晩のFOMC政策金利発表と明日の米大統領一般教書演説に向けられており、内容次第では一触即発の展開も予想されるだけに、市場参加者もポジションの微調整に終始せざるを得ない状況にある。
他方、格付け会社S&Pによる日本国債格下げは、基本的には円売りの好材料とみなされる筈だが、日本国債は大量に国内向けに消化されている裏事情もあり、海外勢の反応が限定的になっている。今現在ではリスク回避志向が根強く、安全資産としての円買いが優先されており、また、市場が中国当局の金融引締め策を重視している関係上、ドル円の重石に繋がっている。それゆえに、市場のコンセンサスとしては、短期的には円買い、そして、中期的には円売りの構図を醸していると解釈できるだろう。
戦略的には、レベル的には円高が進行しており、過度な円買いは自重局面を迎えている。再びドル円90円台への反発を想定して臨むことを勧めるが、円高基調を考慮し、ドル円89円前後から押し目買いと90円台から売りを模索することを勧める。そして、ユーロドルは買い材料が乏しい状況が続いており、上値の重い展開であるが、1.41台半ば前後の売りで待機策を勧める。一方、買いは1.400前後ではオプションや値ごろ感の利益確定買いが散見されており、底堅い状況を作り出しているが、反面、投機筋によるストップロス狙いの売りを考慮、1.400割れから押し目買いで臨むことを勧める。