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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ソブリンリスク本格化の兆し!ユーロ1.400割れも視野に?

昨日来のEU委員会を通して、ギリシャの統計に「深刻な不備」があると報じられ、蒸し返されるようにEU加盟国の財政赤字の正確さが疑問視される中、ギリシャ国債のデフォルト懸念が更に強まっている。市場は前日のユーロ急落を受けていた直後だけに、1.42前後のストップロスを巻き込み1.4170前後まで下げ足を速めている。ZEW景況感指数が景気回復の分岐点である50.0を下回ったことも起因しているが、ユーロ金利の先高感が大幅に後退していることもユーロ売りに拍車をかけている。いずれにしても、狼狽的な売りを誘引しており、未だに反発の兆しさえ見られない状況であり、もう一段の下げを想定して臨む必要があるが、連日の下げ幅が200ポイント以上に達しており、通常ならば半値戻しの1.43前後まで反転しても不可思議ではないが、ソブリンリスクが本格化すれば、さらに下げ足を速める恐れもある。総じて、上値の重い状況ではあるが、基本的にはワイドレンジで様子見が正解であろう。
おそらく、今後はギリシャ問題に関連して、IMFを含めて、ユーロ諸国からは擁護的な見解が発せられる可能性があり、1.42前後からのショートは自重すべきであろう。さもなければ、ユーロドル1.4000割れが現実味を帯びることになり、加速的なユーロ売りには注意を払いたい状況である。
一方、ドル円はユーロ脱落の影響を受けて、リスク回避志向が強まり円買いを誘発している状況であるが、クロス円全般にも円買いが波及しており、上値の重い展開は否めないだろう。本日発表される米大手金融機関の決算結果は概ね良好とは言え、既にドル買い志向が強まっている環境を加味すると、ドルの上昇は限定的と判断するのが妥当であり、株価動向を注視して始動することが賢明であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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