試行錯誤の展開!攻めるよりも守り優先?
先の雇用統計悪化に続き、中国の預金準備率引き上げ(金融引締策)などから、市場の見方は世界経済の鈍化が台頭し、景気回復期待は楽観的から悲観的な見方に傾斜しているにもかかわらず、昨日の米株式市場は高値を更新している。本日からは来週にかけて、米有力企業並びに大手金融機関の好決算が相次いで発表される運びであることを受けて、米経済回復期待の拡大を背景にして、米株市場の堅調さに繋がっている。
早朝に発表された地区連銀経済報告(ベージュブック)では緩やかな景気回復を示唆、12地区中10地区で改善と前回の8地区からは前進しているが、労働市場および住宅市場については依然として脆弱性を指摘している。ベージュブック自体は米国の連邦準備FOMCが開催される2週間前の水曜日に発表される報告であることから、今回の報告は今後の米金融政策にも注がれているが、米経済に不確実性を払拭するまでには至らず、超低金利の持続性を余儀なくされているのが実状であろう。
一方、市場では米系シンクタンクのFRB金融政策に関するタカ派レポートやECB中銀からはギリシャの債務再編法は市場に痛みを与える可能性を示唆するなど、相対的にドル買いに傾斜している反面、12月米月次財政収支としては過去最大の赤字額を記録。また、統計開始以来最長の15ヶ月連続の赤字となっているなどドル高派とドル安派が右往左往しているのが現状である。
いずれにしても、米経済の回復期待が増してはいる反面、試行錯誤の展開を余儀なくされており、難解な相場展開に直面している以上、安易な相場観で臨む環境ではなく、当面、ポジションの縮小を念頭にして、ドル円は90~93円、そして、ユーロドルは1.4300~1.4600のボックス圏相場の中で戦略性を高めることが賢明であろう。