過信は禁物⇒見極めの時期⇒ドル円90円&ユーロドル1.4500
市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)の発表を控えて様子見ムードが高まる中、FOMCの声明文発表後も株式及び為替市場の反応は限定的である。発表された米FOMC声明文では、政策金利の据え置きを全会一致で決定。異例の低金利を期間にわたり正当化する可能性が高いとする一方、大部分の資金供給措置は来年2月1日までに解除など、その他の措置でも具体的な日付を明記しており、出口戦略の一環として捉えられている。更に、金融市場、経済成長を一段と下支える状況となっているとの認識を示しており、米経済の早期回復期待を感じさせる内容になっている。一方、利上げ時期に関しては、専門家の中でも2010年度3月から2011年春まで見解が分かれているが、デフレ懸念がある米経済に利上げ時期を想定すること自体が無謀な予測と言える。基本的には雇用情勢の回復が数カ月続き、失業率が現在の10%から正常レベル(7~8%)に達し、同時に米成長率GDPが3%以上にならなければ、早期の金融引き締め策は米実体経済の足かせになる可能性がある。
いずれにしても、FOMC声明文は市場の手掛かりとならず、為替市場は試行錯誤の展開が予想されるが、声明文の中で資金供給措置が来年度には解除されることが判明したことで、相対的にドル買い需要が増す可能性が高いだろう。
他方、債券市場では米10年債利回りが3.6%に達していることから、米金利先高観が優先されている状況であるが、FFレートと長期債の長短金利の格差に違和感が生じていることは否めず、米金融機関及び機関投資家による短期借りと長期運用に拍車がかかる可能性があり、長期利回りの上昇は限定されると判断するのが妥当であろう。
ユーロ諸国の信用不安が表面化したことを受けて、過小評価されていたドル買い戻しが進行、ドル円は90円前後の実需売りの直面しており、同時に、ユーロドルは節目の1.45が目前となっている以上、加速的なドル買いには繋がらないと判断するが、統計的には年度末に向けて、市場はドルショートを毛嫌いする傾向が顕在化しており、ドル円のレンジは88~91円、そして、ユーロドルのレンジを1.4400~1.4700に想定して戦略性を高めることが賢明であろう。