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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル全面安からユーロ全面安の展開は時期尚早?


明日早朝のFOMCでは金利据え置きが有力であるが、米金利の先高観測のある中、昨日の英ファイナンシャルタイムス紙がFOMCにおいて、公定歩合の引き上げの可能性が指摘、そして、米生産者物価指数の結果が予想を上回った事などを背景に、一時、ドル買いが進行したが、反面、12月ニューヨーク連銀製造業景気指数は前回23.51から2.55へと急落するなど好悪材料がまちまちとなり、FOMC政策金利発表を控え、株式市場及び為替市場は調整局面に陥っている。
一方、欧州圏ではドバイ問題は一応修復される中、オーストリアの銀行国有化やギリシャ・スペインの格下げ問題などを背景に欧州通貨は下落傾向にあるが、オランダ中銀総裁がポルトガル及びアイルランドに対しても懸念を抱いており、総じてソブリンリスクが先んじている状況である。ユーロドルは辛うじて節目の1.45割れを回避した状況であるが、下値懸念が燻っていることは否めないだろう。
一方、米金利の利上げ観測が問われる中、米長期債利回りが更に上昇しており、米国のクレジットカードの延滞率の悪化、そして、商業不動産の悪化が顕在化しており、米実体経済はインフレ懸念よりもデフレ懸念の方が有力視されている状況下である。長期金利の上昇は一時的にはドル買い材料になるが、米財政難も加わる以上、ドル離れを助長しかねない環境とも言えるだろう。
いずれにしても、明日早朝のFOMCにおいて、金利据え置きはほぼ決定事項であるが、その後の声明文において、金融政策の変更の有無が重要視されている以上、相場の動意を待ってから始動が賢明であり、ボックス圏の範疇で逆張りに特化することを勧める。
戦略的には、昨日のドル円相場は利益確定売りやオプションの抵抗売りにより、90円台には届いていないが、下値堅調を判断し、89円前後から押し目買いを勧めると同時に、売りは90円台以上で模索することを勧める。そして、ユーロドルは1.45前後では利益確定買いや新規買いが散見されている一方、ストップロス売りを踏まえた相場展開が予想されるため、1.45割れから押し目買いと1.46台以上で売りを模索することを勧める。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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