不確実性・不透明・信用不安の中、消去法の円買いにも不安感?
米格付け大手がスペインの信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」への引き下げを公表、ギリシャに続き国レベルの信用不安が拡大、欧州株式市場の軟調を受けて、NYダウは下落に転じていたが、米10月卸売在庫が1年3カ月ぶりに好転したことを受けて、小幅上昇で引けている。
一方、ドルの買い戻しが強調される中、商品市場は下落基調を強めており、原油価格はガソリン在庫の増加が加わり、70ドル割れ寸前まで下落、また過熱感のあった金価格も下落基調を速めている。市場のセンチメントが変わりつつある中、為替市場は徐々に落ち着きを取り戻しつつあり、ユーロ売り及び円買いにも、一服感が生じている。
他方、バンカメが450億ドルに及ぶ公的資金の返済を完了が報じられているが、同時に、問題視されたシティ・グループなども返済計画とともに増資計画が表面化しており、相対的に米金融機関に対する信頼度が回復基調にあるとも報じられている。反面、欧州金融機関にまつわる信用不安が拡大している以上、必然的に欧州通貨売りに傾斜することは否めない状況であるが、経済の不確実性に関しては、日米欧とも大差がなく、その場その場のリスク選考型相場と言えるため、ドル買い及び円買いが一方的に加速する状況ではないだろう。
本日の為替市場は株価動向を睨みながら、試行錯誤の展開が予想されるが、この数日間における乱高下相場でドル買いと円買いが一巡したと考慮し、反発期待も含めて、ドル売り及び円売り志向が強まると思われるが、方向感が欠如している以上、ポジション調整主体の展開にならざるを得ないだろう。
欧州時間には英BOE政策金利発表が予定されているが政策金利と資産買取り規模は据え置かれる見通しであり、相場への影響は限定的であろうが、NY時間では先のサプライズの米雇用統計の推移を探るためにも新規失業保険申請件数が注目される。同時に、昨日の米10年債入札が不調に終わり、利回りが上昇しているため、米長期金利の動向に注視する必要があるだろう。
早朝に発表された本邦の民間景気指数である10月機械受注は4.5%減少と昨日のGDP改定値と同様に、デフレ経済を裏付ける数字が示され、日経平均株価は明日のメジャーSQを前に10,000円前後で右往左往している状況であるが、既に円高にバイアスがかかっており、現状では株安円高の構図は描きにくい状況である。いずれにしても、多岐多様な思惑が混在しており、落ち着きのない相場展開である以上、ポジションの縮小を念頭に戦略性を高めるが賢明であろう。
戦略的には、ドル円の下値堅調と判断し、87円台半ば割れから押し目買いと88円台半ば以上の売りを勧める。そして、ユーロドルは1.47割れでは利益確定買いが散見されており、下値堅調と判断し、1.47割れ前後から押し目買いと1.48台半ば前後の売りで待機策を勧める。