ドル円下値離れ!円キャリー加速?クロス円売り自重
ドバイショックが沈静化する中、昨日の米11月ADP雇用統計は市場予想を下回ったが、最近の米雇用情勢の底打ち感から、週末の米雇用統計に注目せざるを得ない状況であり、相対的に、市場の反応は限定的になっている。
鳩山首相が「円独歩高は放置できない」と発言したことを受け、ドル円が緩やかに上昇している。基本的には円高観測が後退したわけではないが、昨日の鳩山首相と白川日銀総裁の会談において、デフレ対策を踏まえた上で、政府主導の経済・物価・為替などについて意見交換がなされ、危機的な経済状態に本腰を入れる姿勢を見せている。日銀が10兆円規模の資金供給を発表したばかりであるが、一部では日銀の追加的な緩和措置観測が浮上する等、円買いを強行できない側面が多々あり、ドル円85円割れはかなり遠のいたと見るのが正解であろう。
一方、低金利政策の長期化を背景にドルキャリートレードが進行中であり、ドル安傾向は否めないが、行き過ぎた円高に対しては、円キャリートレード含みの円売り志向が強まる可能性が浮上している。シカゴ通貨先物においても、円ロングが警戒水準5万枚超に達しており、円の戻り売りが濃厚なだけに、過度な円高期待は自重局面にある。ただし、市場の試行錯誤が顕在化しており、利益確定優先の相場形態になっていることから、ドル円の急上昇は望めず、あくまでも段階的な上昇にとどまる公算が高いであろう。
補足的になるが、円キャリートレードの対象通貨としては、先のRBAの利上げ(3.75%)により、日豪の金利差が3.5%以上に拡大、スワップ金利の優位性を重んじた中期投資(3年)に妙味が生じている。計算上では10円以上の為替リスクが軽減される状況にあり、豪ドル円80円前後からは押し目買いの好機と言えるだろう。
戦略的には、ドル円は下値堅調と判断し、87円割れから少なめの押し目買いを勧める。売りは利益確定が散見される88円台以上で模索することを勧める。そして、ユーロドルは下値も堅調であるが、上値も重く、方向感に乏しい状況であり、レンジ幅を拡大して、1.50前後の買いと1.51台半ば以上の売りで待機策を勧める。
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