米経済のジレンマ&ドルの迷走!難解な相場展開?
米10月住宅着工件数が予想を大幅に下回ったことを受けて、NYダウは4日ぶりに小反落、リスク回避の思惑からドル買いが優勢となったが、新規住宅購入に対する税額控除の延長が決まる以前の数字だけに住宅関連指標の数値に不透明性が生じており、次回の結果を見るまでは判断しかねる状況である。
いずれにしても、ドル高傾向にもかかわらず、金及び原油価格が続伸しているように、ドル先安観測は根強いが、世界経済の回復には各国からドル安と人民元安批判が相次いでおり、ユーロドルの上昇の妨げにもなっているが、市場のセンチメントとして、ユーロドル1.5000台がターニングポイントになっており、どうしても、利益確定売買が優先される傾向にある。今後も節目では素早い対応が迫られるだけに、過度なポジショニングや過剰期待は自重すべきであろう。昨日もオバマ大統領が景気の2番底につながる可能性を指摘、四半期のGDPはプラス成長になるが、雇用情勢は低迷、雇用の伸びを押し上げるには輸出がカギになるとドル安を容認したい状況であろうが、米国のジレンマとドルの迷走が続く限り、難解な相場にならざるを得ない。
一方、世界経済が二番底と言われ、そして、デフレ懸念が日米欧の主要国で浸透しており、ある意味では経済不況の最中、株式市場及び商品市場の不可思議な上昇現象が続いているが、バーナンキFRBや政府高官が低金利政策の長期化を繰り返しており、既に来年度中の利上げ構想は喪失している状態である。それ故に、だぶついたドル投資マネーがマーケット全般の主導権を握っている構図は変わらず、今後も乱高下を想定した戦略性が求められる。
ただし、徐々に機関投資家や投機筋の売買志向がより短期化しており、利益確定売買が早まっているだけに、常識的な範囲内で利食いと損切りのターゲットを取り組む必要性が増している。現状、金融機関の為替トレーダーも苦悩の連続であり、ファンダメンタル分析でも専門家の見解がまちまちであるが、同時に、テクニカルチャ−ティストも苦悩の連続であり、安易にテクニカル分析だけで投資判断を委ねる状況ではないだろう。
戦略的には、直近のレンジ幅を重視して臨むことを勧めるが、中途半端なレベルで動き損にならないように、ドル円は88円台半ば前後から押し目買いと90円台の売りで待機策を勧める。そして、ユーロドルは1.50台前半に損切り買いを配置して、1.5000前後のショートを勧める。一方、買いは1.48割れの損切りを前提に、1.49割れから押し目買い志向で臨むことを勧める。