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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル売りのジレンマ!ドルショートに違和感?

注目のFOMC政策金利発表には前回と変更はなく、長期間の低金利政策を維持する姿勢を示し、出口戦略としては肩透かしの状態であるが、米経済の脆弱性や株価への影響を踏まえると利上げ構想までには踏み切れないのが現状であろう。
市場の関心は週末の雇用情勢の悪化推移に注目せざるを得ない状況であるが、遅かれ早かれ、失業率が10%台に乗せることは確実視されている以上、大きな期待は持てないのが現況であるが、相次ぐ米景気対策や在庫調整によって、先に発表されたGDP比率は押し上げられたた格好であり、同時に、9〜10月の米経済指標は軒並み改善され、そして、11月中の経済指標も改善される見通しから、一時的には10月非農業部門雇用者指数は改善される可能性が高いが、失業率の上昇がある限りは、賞味期限としては短命に終わる可能性が高く、相場の乱高下は必至と見るのが妥当であろう。
一方、リスク回避志向を背景にして、米経済指標の改善がドル売り及び円売りに走る傾向は否めないが、過度なドルショートや円ショートに疑問符が生じている。ドル安批判のある中、米財政赤字拡大を背景にして、今後の米景気対策が打ち切られる方針が表面化しており、必然的に株式市場に大きな影響を及ぼすだけに、米政府の継続的な景気対策は余儀なくされるであろうが、為替相場への影響は計り知れず、当面は乱高下必至の相場展開を踏まえた戦略性が求められるだろ。
本日はFOMC政策金利発表に続き、ECB中銀政策金利が発表されるが、金利据え置きは確実視されており、トリシェECB総裁の記者会見に集約されているが、米国と同様に出口戦略に関心が向けられているが、インフレ懸念があるとは言え、ユーロ失業率も10%前後の高水位準で推移しており、金融引き締めには程遠い状況であり、相場への影響は限定的であろう。
いずれにしても、各経済指標や要人発言など、材料には事は欠かないが、為替市場全般にポジション調整主流の様相を呈しており、投機筋の短期トレードが主役になっており、ボックス圏相場の範疇での攻防を重視して臨むことが賢明であろ
う。
戦略的にはドル円は91円台では実需の売りが控えており、上値の重さを意識させられるが、同レベルからのナンピン売りを勧める一方、買いは90円割れからの押し目買いを勧める。そして、ユーロドルは想定以上に底堅い展開を見せているが、1.49前後では利益確定売りや新規売りが散見されており、同レベルからナンピン売りを勧める。買いは1.48台では自重局面にあり、1.47台から模索することを勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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