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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

基調はドル売りだが!過度なドル安期待は禁物?

昨日はドル円が88円を割れず、利益確定買いに圧されて、予想外に89円台半ば近辺まで上昇したが、同レベルでは実需と利益確定売りが勝っており、再び88円台半ばまで戻されている。今後もドル円88円割れを再トライするであろうが、現段階ではポジション調整買いが散見されるだけに、下値圧力は限定的であろう。
いずれにしても、リスク回避の強弱がマーケットを席巻しており、いずれの通貨も判断材料が日々様変わりしている状況下では、積極的にポジションを一方向に傾けるリスクが生じている。一方、投機筋の単発的な仕掛けが散見されるが、持続性には乏しい状況が続いており、ポジションの反転が早まっている傾向にある。対応策としては、予め、利食い幅と損切り幅を想定して、素早い対応が要求される相場である。損切り幅を10~20ベーシスポイントに設定すれば損失は最小限に抑えられる反面、損切りに振り回される可能性が高く、大局的な見地から参加することが賢明であろう。方向感に欠ける展開では、損切りは少なくとも50ポイント程度を覚悟し、反対に利食いは100ポイント程度見込んだ売買志向が効果的であろう。
一方、特段の材料がない中、米10年債入札の応札倍率3.01%と10年債利回りは低下しているが、潜在的にはドル買い志向が芽生えており、過度なドル安期待は自重局面にあると思われる。他方、今週から米企業決算がスタートしており、概ね好決算が見込まれているため、米株市場が堅調に推移する可能性が高く、株式関係者はNYダウ平均10,000ドルが今月中には達成する見込みと楽観的である。従来の株価と為替の相関性から見れば、株高ドル安の構図が描かれるが、現状のドル安レベルを考慮すれば、ドルの反発が起こり得る環境は否めない。流れはドル売りであるが、もう一段ドル売りが進行すれば、ドルをコマ目に拾うことも一考であろう。
戦略的には、ドル円88円前後から押し目買いを勧めると共に、売りは89円台に固執して臨む事を勧める。そして、ユーロドルは上昇基調にあるが、直近のレンジ幅を重視して、1.46台半ば前後から押し目買いと1.48前後の売りで臨むこと
を勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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