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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

悩ましい展開が続く、過度なドル安に黄信号点滅?

ユーロドルは目先の節目である1.46の年初来高値を更新、その後に利益確定売りが散見されているが、一方、ドル円は再び92円台を割り込み、ドル全面安の状況が続いている。
昨日、ベージュブック(米地区連銀経済報告)が発表され、ほとんどの地区で経済は安定を示し、5地区連銀で経済活動改善の兆候があり、景気回復を再認識させる内容であるが反面、米失業率の悪化を裏付ける雇用の弱さや小売売上高横ばい、商標不動産の需要は弱く、建設は低迷などが指摘されており、相対的に雇用と住宅関連には厳しい環境が続いている以上、景気回復とは言い難い状況にある。昨日のドルの買い戻しの動きは限定的であり、連日ドル売り優勢局面にあるが、NYダウが9500ドルを回復、主要銘柄のS&P500、そして、ハイテク株に代表されるナスダックが堅調に推移しており、リスク回避志向が弱まっている段階ではドル売りに傾斜する背景がある。
一方、昨日の米10年債入札も順調にこなしており、米経済の回復期待と共に、本来ならば、ドル売りを強行するリスクが生ずる筈であるが、相次ぐ景気対策により、ドルの過剰流動性が問題視されており、ドル需要が減退していることは否めず、投機筋の思惑が株価を筆頭にして、原油や金市場などの商品市場にシフトされやすい状況にある。
他方、先の民主党の円高容認発言でドル円を買い戻す動きは限定されているが、既に民主党の一部議員からは柔軟性を重視した為替構想を述べており、過度な円高期待は収束しつつあるが、世界経済が低空飛行の状態であり、日米欧のみならず、オセアニアでも輸出競争力の低下が顕著になっており、米ドル以外は自国通貨高を危惧しており、先のG20における協調声明や次回サミットに向けて、米ドルの継続的な下落は歓迎されていない方向にある。そして、中国などの新興国はドル資産目減りが明白になるだけに、過度なドル安は基軸通貨の座を脅かす要因になるため、米国としても、何らかの配慮を講じる必要性があるかもしれない。短期的にはドル売りが進行したとしても、継続的なドル売りには繋がらないだろ


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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