米雇用統計待ち!ボックス圏で待機策賢明?
米8月ISM非製造業景況指数の好結果や米国株式相場が反発したことで、ドル円は92.70円台と日中の高値を更新する展開になっている。リーマンショック以前の水準を取り戻し、典型的なV字型の兆候を見せており、景気底打ち感を裏付ける情勢である。ただし、ADP雇用統計や直近の米新規失業保険申請件数などが予想を下回っており、雇用なき米経済成長が疑問視されている。
株式市場においても4日続落の自律反発で上昇に転じているが、先の8月米ISM製造業指数は景気の節目である50を大きく上回ったにも関わらず、相対的に良いニュースが株及び為替相場に対して、利益確定売り要因に繋がっている傾向が色濃く、不安心理がポジション解消を速めている背景がある。
いずれにしても、今晩の米雇用統計を睨み、市場全般は様子見ムードが強まっており、方向感に乏しい状況であるが、ドル円相場は92円割れでは実需と利益確定買いが散見されており、底堅い動きを見せている一方、ユーロドルは1.43台では利益確定を踏まえた売りニーズが散見されており、上値の重い状況を繰り返しているように、ボックス圏相場の範疇である。ドル円は91.50~93.50円、そして、ユーロドルは1.4150~1.4350のレンジ幅でナンピン売買に特化することが得策であろう。昨日のECB政策金利は予想通りに据え置かれたが、トリシェECB総裁は景気安定化の兆候はあるが、ユーロ経済全般に不確実性が高い状態が続いており、金融機関に対する疑念は解消できていない状況下では、出口戦略を見極める状況ではないだろう。そして、相次ぐ景気対策がユーロ加盟国の財政赤字拡大を引き起こしており、ユーロ諸国経済の温度差が更に拡大しているため、慎重姿勢を堅持せざるを得ない状況である。現状ではユーロの加速的な上昇は望めない環境にある。
戦略的には先にも述べたように、ドル円は92円割れからの押し目買いを勧めると共に、売りは93円台から始動することを勧める。そして、ユーロドルは1.43前後からナンピン売りを勧めるが、買いは1.42割れを見てから始動することを勧める。
補足的になるが、市場では個人投資家のドル円ロングの積み上がり警戒する見解が報じられているが、実際問題として、機関投資家やヘッジファンドがポジションを反転する際には急落も想定されるが、投信ファンドの外債設定が7月ボーナスシーズンに激化したことから、早期にポジションを解消するには時期尚早であり、たとえ、個人投資家が損切り態勢にあったとしても、一斉に大量の売りを浴びせる機会は少なく、一過性の円高に終わる可能性が高く、過度な円高期待は禁物であろう。