ドル買い余地あり!一旦は清算売り賢明?
中国上海総合指数の急落により、原油先物価格や中国の主要な株価が下落したことで、俄かに、ポジション調整売買が加速しており、ドルが対主要通貨で上昇に転じている。昨年のリーマン・ショック後から日米株価は未だに20%程度下回っているが、一方、中国株は中国経済の成長率の高さを示すように、70%以上も上昇しており、昨日の5%の反落は想定範囲と言っても過言ではないが、市場全体がリスク志向に大きく傾斜しており、想像以上にポジションの反転が早まっている状況である。
昨日は6月の米耐久財受注が弱い内容からドル売りが先行する地合いであるが、他方、7月ドイツ消費者物価指数が1990年の東西ドイツ統一以降、初めての前年比マイナスとなったこと受け、高値圏で推移していたユーロドルが主要通貨に対して大幅に反落している。しかしながら、景気先行指数である地区連銀経済報告(ベージュブック)は、景気後退のスピードは、大半の地区で減速または安定化しているが、景気回復は長期間に渡る可能性を示唆、同時に雇用情勢の悪化は避けられないと指摘しており、ドル買いを促進できない側面がある。そして、週初めから始まった米国債入札が不調に終わっており、本日の7年債も不安視されている。今後も米財政難と共に米国債市場の重石になる可能性もあり、一概にドル買いを強調できない環境である。
いずれにしても、売り買い材料が多様化しており、その上に市場心理が揺れ動いているため、マーケットに複雑なバイアスがかかっており、相場の難易度をより高めている。
補足的になるが、オバマ大統領は米国の景気後退、終わりの始まりが見られている可能性がある、金融システムはもはや崩壊の寸前には無い、そして、雇用創出に言及せず、雇用喪失のペースは約半分になっていると意味不明且つ曖昧な言葉に終始しているように、米経済の基盤が揺れており、どうしても波乱含みの相場展開が避けられない状況である。
戦略的には本チャートでも指摘しているように、更にドル買い余地を残しているが、ドルの過小評価が矯正された場面であり、あくまでも段階的な調整局面と解釈し、ドル買いが一方的に加速することはなく、ドルの戻り売りをまってから再始動する事を勧める。ドル円は95円台半ばの売りと94円台台から押し目買いを勧める。ユーロドルは1.400割れを意識させられるが、利益確定買いや新規買いが散見されるため、1.4000前後の買いと1.3970レベルでストップロス売りを併用して臨むことを勧める。売りはあくまでも戻りの1.41台からナンピン売りを勧める。