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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

株高円安の構図!⇒円安限定的?

米大手企業インテルの好決算を背景に米国株式市場が大幅に続伸しており、ハイテク市場と言われるナスダックは年初来高値を更新している。株高の影響を受けて、相対的に円売りが加速、ドル円は1週間ぶりに94円台を回復している。
NY連銀製造業景気指数が大幅に改善されており、株式市場の押上げ要因となっているため、本日発表される7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数に注目が集まっている状況である。
いずれにしても、一昨日のゴールドマンの大幅増益を背景にして、金融機関全般を楽観視する趣があるが、だぶついた投機マネーが株式市場に過熱感をもたらしている背景から、慎重論も市場を回遊している。実際問題として、株高に浮かれるほど市場は楽観視していないのが現状であろう。
一方、NY株高の影響を受けて日経平均株価が200円超上昇しているが、昨日の相場展開にあるように、加速的な株高後には反動売りが余儀なくされており、急伸と急落をイメージは必要であろう。為替は株式主導の展開が予想されるが、日替わりメニューのように悲観論と楽観論が交錯しており、適宜な損切りと利食いが求められる難易度の高い相場であることに変わりがない。
他方、FOMC議事録(6月23、24日分)では、09年度のGDP予測が上方修正された反面、失業率見通しが下方修正されており、年度内の失業率10%超えが確実視されるなど、米経済の脆弱性が問われている。その中で、景気低迷は終焉を迎えつつあるとも示唆しているが、ある意味では支離滅裂とも言える内容であり、米経済の不透明さを如実に表している。
戦略的にはユーロドルは原油価格の上昇や中国外貨準備高に対する思惑から上昇に転じていたが、1.41台半ば目前に失速するなど上値抵抗線が垣間見られる。1.4000前後の買いと1.4150前後の売りで待機策を勧める。
ドル円は下値懸念が払しょくしており、再びドル円95円を目指す展開が予想されるが、本邦輸出企業の採算点として、一部企業では95円から90円前後の円高にシフトされており、94円台でも円買いが常に実行できる状況であるが、足元の株高円安の構図からして、売り急ぐ段階ではないが、本日11時頃に発表される中国のGDPの事前予測が7.8〜7.9%であるが、より強い数字には株高要因に反応する可能性から、さらに円売り志向が強まるが、ドル円95円に届く状況ではなく、93円台半ば前後から押し目買いと94円台半ばから少なめのナンピン売りで対処すること勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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