ストップロス一巡まで静観がベスト?
昨日の円急騰を受けて、損失確定売りが隋所に見られており、為替市場は混乱状態に近いものがある。円全面高のきっかけは原油安と株安に起因するところが多いが、その他でも、IMMの経済見通し、米欧経済の不確実性、米長期金利の低
下、そして、中国経済の停滞観測などが浮上するなど、円高要因が多様化している状況である。
同時に、心理的な節目であるドル円93円割れに動意づいた側面があるが、クロス円においてもユーロ円130、豪ドル70円、ポンド円150円が意識された矢先に、想定以上にポジション縮小に拍車がかかり、狼狽的な売りが殺到した状況である。
IMMが2009年度の世界経済はマイナス1.4%(前回予測はマイナス1.3%)と下方修正したが、逆に来年の見通しを引き上げている。特に日本政府が景気底打ちを宣言する中、米国及び欧州の成長率が伸び悩み、日本の成長率が1.2%から1.7%へ上方修正されていることも円買いを誘引している。
他方、俄かに、世界経済のけん引役である中国がウイグル問題を受けて、今後の中国経済に対する期待感が後退。そして、原油先物相場は節目の60ドル割れ寸前に迫っているように景気後退観測が再燃する可能性まで指摘されている。
いずれにしても、景気回復期待が頓挫した以降、リスクマネー流出の動きが顕著になっており、原油価格の下落と共に、一方調子の株価上昇に陰りが生じている。
それ故に、安全資産の円買いに妙味が増しているが、日本政府としても、政局不安を抱えながら衆議院選挙を迎える状況下では、過度な円高局面に対しては断固たる手段(日銀介入90円)を取る可能性があるだろう。
戦略的には一時的にはドル円の戻り期待と利益確定買いが先行し、92円台半ばでは底堅い動きが予想されるが、上値は損失確定売りに圧される可能性が高く、92円前後から押し目買いと93円台半ば以上ではショートを模索することが賢明であろう。
ユーロドルに関しては、下値懸念が増しているが、昨日の動きを見る限りは円主導(クロス円)の相場展開であり、基本的にはレンジ幅での売買が継続されており、1.38割れから押し目買いと1.4000前後の売りで臨むことを勧める。