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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

思惑は捨て去るべし!経済不況下のFXはボックス圏相場で対応すべし?

NY時間では来週イタリアで開催される主要8カ国(G8)首脳会議において、中国が新たな世界的準備通貨についての議論を求めていると報道されたことで、ドルが一時的に急落、ユーロドルはストップロスを巻き込みながら、1.4200まで上昇するなど、波乱含みの様相を呈しているが、市場は第3四半期の始まりや、本日の米雇用統計、そして、明日からの米独立記念日を見越して、薄商いの中、急速にリスク回避志向が選考された形である。いずれにしても、新鮮味には乏しい準備通貨の話題であるが、世界経済が中国経済に依存する面が多々あるため、市場は想定以上に敏感に反応している。今後も米国債売却など中国側の揺さぶり戦術が幾度ともなく繰り返される可能性が高いが、ドルに替わる通貨と言われる国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の活用拡大を求めたものであるが、実質的な競合通貨が現れるには少なくとも数十年を要するだろう。

そして、最悪な経済不況の中、話題性はあるが非現実的な問題と化しているのが現状であろう。一方、世界経済に底打ち感があるとは言いながら、急回復する環境ではなく、為替相場の役割はあくまでも貿易不均衡是正の一環であることをと考慮すると、当面、限定されたレンジ幅での攻防が継続される可能性が高く、原則的にはドルの戻り売買に焦点を定めて取り組むことが賢明であろう。
本日は注目度の高い米雇用統計が控えて、再び市場は冷静さを取り戻しているが、昨日の米6月ADP全国雇用者数の悪化から、米失業率の悪化と共に非農業部門雇用者増減資指数が懸念されているが、6月の米ISM製造業景気指数は44.8と6ヶ月連続で改善し、構成項目では生産指数が景気判断の分岐点を上回ったほか、雇用指数が2ヶ月ぶりの改善を示しているなど、好悪材料がまちまちであり、基本的には指標を見てからの始動に専念することが賢明であろう。
さもなければ、直近のレンジ幅で待機策を勧めるが、相場全般に過剰流動性資金とストップロス売買が各市場を回遊している状況であり、突発的な動きに注意せざるを得ないが、戦略的にはドル円96円割れの買いと97円台以上の売り、そして、ユーロドルは通常よりレンジ幅を拡大して、1.4000〜1.4250のレンジ幅で待機策を勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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