ドル円相場は米債券利回り・ユーロドルは原油価格次第?
昨日はオバマ大統領が、金融機関の不透明性打開と監督強化するために正式に金融規制改革案を発表。そして、米大手金融機関10行が昨年資本注入された683億ドルの公的資金を財務省に返済したと発表、モルガン・スタンレーは公的資金100億ドル、JPモルガン・チェースは全額の250億ドル、そして、ゴールドマン・サックスは1000万株の優勢株を買い戻すなど、日米欧の中では米国の対応の早さが抜きんでており、短期的にはドル買い要素が多分に含まれている。
一方、5月消費者物価指数が前年比で、1950年以来最大の落ち込み、そして、米第1四半期経常収支は、01年以来の低水準まで赤字額が拡大しており、インフレ沈静化に伴い、米利上げ観測が大幅に後退、米長期金利の上昇にも歯止めがかかっており、ドルの売り要因となっているが、金利の推移自体にリスク回避志向が混在することによって、相場の難易度が増しており、慎重なポジショニングにならざるを得ない外部環境である。
他方、日本政府は景気底打ち感を打ち出しているが、悪化の文言を取り除いたのみで、具体策には欠ける発言であり、昨日の自民・民主党首討論の茶番劇と同様に、日本独自の再建計画案は皆無に近く、世界経済情勢を眺めるしかないのが現
状であるが、当面、日本発の円高円安要因は限定的であり、海外勢主導の相場展開が見込まれる。しかしながら、現状のドル円相場は米債券相場、そして、ユーロドル相場は原油相場を睨む相場展開になっており、クロス円も含めて相場の焦
点が絞りきれていない状況は否めない。
戦略的には相場の変動を待ってからの始動を勧めると共に、繰り返しになるが、ドル円は95〜97円、そしてユーロドルは1.380〜1.4100のボックス圏相場の構図を描いており、当面は上記レンジ幅で戦略性を高めることが良策であろう。
本日はドル円95円台半ばから押し目買いと97円前後の売りで臨むことを勧める。そして、ユーロドルは1.3850から押し目買いと1.4000台の売りで臨むことを勧める。
補足的になるが、米債格下げの可能性を報じた米格付け会社S&Pは短期的に米国の信用格付けを「AAA」から引き下げる可能性は低いと評しており、米財政赤字の中でも、米国の信用力は強さが上回り、最上級格付けの維持は可能と変更し
ている。ある意味では、景気低迷の最中、株式市場が好調に推移しているように、米政府の関与が隅々まで行き渡っているとも解釈できるが、本格的な景気底打ち観測が表面化するには相当の時間が必要であろう。
★遅ればせながら、
●ペットチャート『乖離幅チャート』6月14日分