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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

長期金利&原油上昇!彷徨う米ドル?

日経平均が節目でもある10,000台を回復したが、為替市場は反応薄である。昨日は好悪材料が混在する中、比較的ドル売り材料に傾斜している事は否めないが、市場心理が揺れ動いており、ドルの買い戻しが選好されている状況である。
昨日の景気先行指数であるベージュブックは、12地区連銀のうち5地区が下降トレンドの緩和の兆しがあると報告しているが、雇用情勢並びに労働市場は引続き弱く、個人消費の伸び悩みが続いており、米経済の景気回復に対する道のりは険しい状態である。

一方、ロシア中銀が米国債売却を検討、ドル資産の運用率を引き下げる方針を打ち出し、今後はIMFのSDRにシフトに向けた動きが報じられている。反面、原油価格の上昇によって、ロシア財政が改善する見通しが浮上、リスク分散を採用
したとしても、即座に米国債売却と言う図式は描きにくい。しかしながら、中国と同様に将来は純増部分に対してドル債比率を低下させることは間違いないであろう。
2~5年短期債入札は順調にこなしていたが、昨日の米10年債入札が不調に終わり、総じて、購入意欲が減退しており、長期金利の上昇に歯止めがかからない。一部ではFOMCの金融引き締め策が独り歩きしている状況であり、米経済にとっては、ドルの信認性も踏まえると悪い金利上昇の典型とも言えるだ
ろう。
いずれにしても、米経済の不確実性が払拭できない以上、為替相場の機能が低下しており、どうしても目先の経済数値に振り回される傾向が強く、乱高下を想定した許容範囲のレンジ売買に特化することが賢明である。
戦略的にはドル円は98円前後、そしてユーロドルは1.4000前後の攻防が予想されるため、無駄な動きを控えて、短絡的にドル円は97円の買いと99円の売り、そして、ユーロドルは1.39前後から押し目買いと1.41台からナンピン売りで臨
むことを勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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